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シート69

 

部下の自己啓発

 

部下の自己啓発を奨励するためには、上司は次のような点に留意するといいでしょう。

 

1 自己啓発の目標設定に協力する

 

人は自分の能力、適性などに基づいた明確な自己啓発の目標を持ち、その目標に向けた努力の結果が職場の仕事に生かされるとき、より大きな成長が期待できます。そこで監督者は部下とよく話し合って、部下の成長のための具体的な目標設定に積極的に協力することが大切です。

なお、自己啓発目標は、努力すれば実現可能なものとする必要があります。努力しても達成できないようなものであっては、その努力が無駄になるからです。また、目標をあまり多く設けることも問題です。自分の持っている時間やエネルギーは有限であり、目標が多いとそれらが分散されてしまうからです。目標は、重要度に応じ、必要なものに絞ることが大切です。

 

2 仕事についての向上意識を持たせる

 

「仕事に充実感を求めようとは思わない。仕事以外の時間を大切にしたいんだ。」という部下がいるかもしれません。しかし、組織に勤務する者にとって仕事の占めるウェイトは大きいと言えます。たとえば、20歳から60歳まで、平日は毎日9時から18時まで勤務すると仮定してみてください。人生の青壮年期に、一日の活動時間帯の大部分を費やす仕事に充実感を持てない場合、果たしてその人の人生は充実していると言えるでしょうか。したがって、部下に仕事についての関心を持たせることは、組織のためのみならず、本人の人生充実にもつながるのです。そして、仕事に対する向上意識を有するようになれば、自然と自己啓発意欲も高まるでしょう。

 

3 自己啓発の管理

 

仕事だけでなく、自己啓発に際しても、管理は重要です。目標の達成に向けて計画を作成し、その計画に基づいて行われなければ、自己啓発の努力に無駄が出るからです。また、きちんとした評価を行わなければ、いつまでも間違った方法で行ったり、状況の変化に対応せず、漫然と自己啓発を行うことになるおそれがあるからです。上司は、部下の自己啓発がうまくいっているか見守り、必要に応じて計画作成の援助をしたり、適切な時期に部下の自己啓発の成果を評価することが大切です。

 

4 自己啓発の方法を教える

 

現在取り組んでいる仕事に関連する資料や図書の紹介、社外セミナーや講演会の案内など、効果的な自己啓発方法を教えることも、自己啓発意欲を持たせる上で大切なことです。

 

5 職場に学習を尊重する雰囲気を醸成する

 

読書研究会とか、研究発表会の開催など、学習しようとする雰囲気を職場に作るように心がけましょう。また、成長目標に向けて努力しているそれぞれの部下に対しては、必要に応じて相談に乗ることも必要です。

 

 

 

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