ホーソン工場での実験
1927年に、アメリカのウェスタンエレクトリック社のホーソン工場において、照明の明るさと作業能率に関する実験が行われた。すなわち、二つの部屋を用意し、一つの部屋の電灯の明るさは日々一定にし、もう一つの部屋の電灯は明るさをだんだん増し、それぞれの部屋の作業効率を測定した。すると、明るくしていった部屋だけでなく、明るさを変えなかった部屋の作業効率も上がっていた。そこで、今度は、明るくした部屋の電灯をだんだん暗くしていったが、それでも作業効率は変わらなかった。
この実験結果が何を意味するかを解明するため、今度はハーバード大学のメイヨー教授に調査を依頼した。メイヨー教授は、休憩時間の取り方などと作業効率の関係について実験したが、いずれの条件の下でも作業効率は高かった。結局、メイヨー教授は、照明などの外的な条件よりも、自分たちは実験グループに選抜されたのだという集団意識が働き、その意識が外的な条件の変化にかかわらず、作業能率を向上させたと結論づけた。
人間の欲求の五段階説
人間の欲求に関する理論には、様々なものがあり、その1つにアメリカの心理学者アブラハム・マズローが唱える欲求の五段階説があります。
これは、下図のように、人は食欲など最低限生きていくための生理的欲求がまずあり、この欲求が満たされると、次は安心して現状を続けたいという安全欲求を有するようになるという具合に、欲求は五つの階層を成し、低い段階の欲求が満たされるとより高い段階の欲求が現われてくると考える説です。
この欲求階層説は、職員が個々の職務に対して、何を求めているかというミクロの場面には当てはめられませんが、職員が「働く」ことに対して、何を求めているかというマクロの欲求については、示唆に富んでいると言えます。
・自己実現欲求:自分を成長させたいという欲求
・承認欲求:他の人に認められたいという欲求
・所属欲求:集団に受け入れられたいという欲求
・安全欲求:不安定さから逃れられたいという欲求
・生理的欲求:食べる、眠るなどの最低限生きるための欲求