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シート68

 

職員の動機付け

 

職員にやる気を起こさせることは、監督者の重要な役割です。やる気を起こさせるには、職員が仕事に対して、何を求めているかを知り、そのニーズに適合した措置を取ることが必要です。そこで、職員の動機付けについて考えてみましょう。

 

1 職員の欲求

 

職員が仕事に励むのは、職務として命令されたからではなく、仕事を行うことによって、何かが満たされるからです。したがって、職員が職務遂行により、何を満たそうとしているのかを知り、その欲求に合った措置を取ることができれば、より効果的に職員のやる気を引き出すことができます。

ところで、職員が有する欲求は一人ひとり異なるだけでなく、同一人物でもその置かれている状況により、欲求は異なります。したがって、状況が変化すれば、欲求も変化します。また、職員が仕事に対して何を求めるかは、職務遂行に要したエネルギーにより異なります。つまり、職務と欲求の間には、相関関係があります。

職員にやる気を起こさせる要因として、給与や昇進などを第一に考えがちですが、ある調査によると、このような物的条件は、不満の防止にしかならないとの結果が出ています。つまり給与が不十分であれば、不満が生じ、勤務に対する意欲を失いますが、一方、給与を上げても、やる気を促進できるとは限らないというわけです。

やる気を起こさせる主な要因は、仕事そのものに対する満足感だと言われています。日本のあるコンサルタント会社が行った職員の意識調査によると、職員は給与や昇進よりも、仕事自体に自分が価値や喜びを見出しているかどうかに、より強い充足感を求めているとの結果が出ています。なお、この調査によると、この傾向は、公務員により顕著でした。

 

2 監督者の対応

 

職員の欲求を把握したら、それに合わせた対応を取ることが、職員のやる気を高めるには必要です。しかも、職員は、給与など個々の監督者が決めることのできない勤務条件よりも、上司や同僚に認められたいとか、自らが重要と考える仕事を計画し、達成したいという欲求を有しており、このような充足感を与えることはまさに監督者の役割です。

つまり、上司は、部下に仕事をやらせることだけを考えるのではなく、いかにしたら部下に仕事に対する満足感を与えることができるかを考える必要があります。さらに、部下の欲求は、常に充足されるわけではありませんから、充足されないときに部下が抱く欲求不満をどのように解消させるか、又は欲求不満に対する耐性をいかに養わせるかが上司にとって重要になります。

このようにして上司と部下の間に信頼関係が構築されれば、部下は上司に信服し、上司の信頼を損なわないように仕事をすること自体に充足感を覚えるようになるでしょう。

 

 

 

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