シート64
代行者の育成
必要なときに、監督者の代わりに仕事を遂行できる部下が代行者です。組織全体の仕事が効率的に行われるためには、どんな場合にも仕事が滞ったり、混乱したりしないようにすることが大切で、そのためには、代行者を育成しておくことが必要です。
職場に立派な代行者がいるならば、監督者はより重要な問題に十分な時間を投入して取り組めますし、突発的な新しい問題にもすぐに立ち向かえます。また、監督者の仕事の代行を命じられた部下は、より高度な仕事への挑戦に意義を感じるとともに、将来のための貴重な成長の機会を与えられることになります。
代行者を育てるには、監督者の仕事について経験させ、必要な知識、技能などを体得させなければなりません。また、判断力や責任感を養い、分析能力や人を使う能力を高め、交渉力を増す必要があり、そのための訓練の機会を与えることが必要です。具体的な代行者育成の方法としては、次のような方法があげられます。
1 監督者の仕事を理解させる
・組織の仕事全体についての知識、今後の業務方針などについてよく知らせる。
・監督者としての仕事を説明するとともに、必要なときには傍らで実際の仕事ぶりを見せ、要点を説明する。
・決定した事項については、はっきりとその理由を示す。
2 実際に代行させる
・自分の代わりに経験の浅い職員のOJTに当たらせる。
・代理として会議に出席させたり、説明する機会を与える。
・外部との交渉の機会を与える。
・監督者が不在のときに実際に仕事を代行させ、その結果を報告させるとともに、悪い点については指導する。
3 研究の機会を与える
・いろいろな問題について、意見やその理由を述べさせる。
・仕事の改善について研究させる。
・管理監督に役立つ図書、雑誌などを推薦する。
・課題の処理に取り組ませる。
4 権限を与える
・上司が代行者を信頼し、代行者が他の部下にも信頼されるように配慮する。
・代行者に必要かつ十分な権限を与える。
・代行者のした仕事についても最終的には、監督者が責任を負うことをあらかじめ明確にしておく。