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シー卜59

 

OJTと状況

 

1 状況に応じたOJT

 

新規採用職員など仕事がまだよくわからない部下に難しい仕事をゆだねても、その達成に失敗し、自信を失う可能性があります。一方、仕事のよくできる部下にあれこれと細かい指示をすることは、反発を招き、これまた能力開発に失敗します。

また、監督者が異動してきたばかりで、仕事もよくわからないうちに、あれこれと口をはさむことは、部下からの反発を招き、失敗することになりかねません。一方、緊急に処理しなければならない仕事の処理については、部下と相談していては時機を失ってしまうおそれがあります。

このように仕事の処理やOJTは、状況を判断して行わないと問題が生じます。OJT実施に際して、考慮すべき主な要素としては、部下や管理者の状況、仕事の状況などがあります。

 

2 部下の状況

 

(1)能力などの要因

部下の仕事に対する能力や意欲の高低によって、新規採用職員のようにそれらが低い場合には指示型のスタイルで、それらが高まるにつれて参加型のスタイルへ、もっとも高まった場合には放任型のスタイルで行うとよいと言われています。

このように部下の仕事に対する能力や意欲が高まるにつれて、部下の仕事に関する自主性を大きくし、ゆだねて、やらせてみることによって、その指導・育成を図ることが大切です。

(2)気持ちなどの要因

部下が自分の能力不足に悩んでいるときには、上司からのOJTを受け入れやすいと言えます。また、他の仕事で忙しくしているときには、指導しようとしても気持ちがほかにあって、指導内容が円滑に部下に理解されないことが少なくありません。

さらに、しかる場合には、部下の性格や上司への親近感、これまでの部下の実績等によって、その方法を変える必要があります。このように、OJTは、部下の気持ち、性格、年齢、経験、上司との関係等によって適切なものを選択して行うことが大切です。

 

3 管理者の状況

 

管理者が異動してきたばかりで仕事にあまり慣れていないような状況においては、参加型や放任型のスタイルでOJTを行うことが一般にはよいと言えます。また、管理者が部下よりも若い場合にも、教えてやるといった態度での指示型よりも、参加型や放任型の方が一般には適当であると考えられます。

 

4 仕事の状況

 

定型的な仕事の場合には部下にゆだねて行わせてみることが適当ですし、企画的な仕事の場合には部下を参加させることが一般には適当です。また、緊急かつ重要な仕事の場合には一方的に指示して部下に行わせ、後で説明する方が、仕事とOJTの両立の可能性が高くなります。

 

5 そのほかの状況

 

これまでにあげた状況のほかにも、組織を取り巻く環境、組織風土や活性化の状況、部下同士の関係等によっても、仕事のやり方やOJTの方法は異なってきます。状況は千差万別であり、管理者は自らが置かれている状況を正しく認識して、最も適した時機、方法でOJTを行うことが大切です。

 

 

 

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