シート55
OJTの管理
1 目的と目標の設定
OJTを適切に遂行するためには、他の仕事と同じように管理のプロセスに従って行う必要があります。管理のプロセスとは、目的に沿った目標を設定し、その目標達成のための計画を作成して実施し、実施結果を評価して、その評価結果を踏まえて目標や計画を修正したり、次の目標や計画に反映することを言います。
OJTの目的は、部下を指導・育成してその能力の向上を図ることです。この目的をさらに具体的に表現し、目指すべき方向と到達点を示したものがOJTの目標となります。つまり、OJTの目標とは、どの部下に対して、どのような能力を、いつまでに、どの程度向上させるかを明確にすることです。
2 計画の作成
目標を設定したら、それを実現するために計画を作成することが大切です。OJTは日常的な作業であるため、ややもすると計画を立てずに、場当たり的に行いがちです。しかし、計画を立てることにより適切なOJTの実施が可能になり、また、管理者もOJTを自らの職務として自覚することになります。
計画を作成するには、次のような手順で進めることが大切です。
・OJTの目標を確認する。
・必要な情報を集め・分析する。
・目標を達成するための複数の方法を考える。
・最もよい方法を選び出して、実施スケジュールを作る。
・実施に当たって生じる障害を検討して、対応策を考える。
・関係者、特にOJTの対象となる部下の理解と納得を深める。
さらに、計画を具体化するために、たとえば5W1Hに沿って検討する。
・Why:指導理由の決定
なぜ部下がその能力を向上させなければならないか、理由を考える。
・What:指導項目の決定
部下に期待する知識には多くのものがあるが、その中で優先順位をつけて、何について指導するかを考える。
・Who:指導リーダーの決定
OJTは一般に上司が直接部下を指導することが多いが、部下の先輩など職場に他に適切なリーダーがいるかどうかを考える。
・Where:指導場所の決定
指導場所は職場内とは限らず、司会技術の向上は会議場でというように、もっとも指導に適した場所を考える。