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シート54

 

OJT実施の心構え

 

OJTについて、監督者として基本的に心がけなければならない点をまとめると次のようになります。

 

1 監督者本来の仕事であることを認識する

 

OJTは監督者本来の仕事ではないと思っている人がいるとすれば、大きな誤りです。監督者は部下が持つ知識や技能などを、組織目標の達成に向けて十分に発揮させていく立場にあるわけで、部下の育成は、監督者の果たす本来の役割の重要な一環を形成しているのです。

 

2 OJTとOff-JTを関連づける

 

OJTとOff-JTとは、相互に補完し合って初めて効果を発揮する場合が多いと言えます。OJTで日常的、個別的に指導したことをOff-JTで体系的な知識として整理し、また、Off-JTで得た知識をOJTで職場において実践してみるというように、監督者は両者の効果的な関連づけを図る必要があります。

 

3 部下の能力の向上を図ろうとする強い意欲を持つ

 

監督者と部下の関係が信頼で結ばれていれば、ときに厳しい指導をしても部下は受け入れてくれます。そのためには、日頃から監督者として仕事をきちんと処理するとともに、部下の能力の向上を図ろうとする強い意欲が必要です。また、組織としては、監督者の業務遂行能力だけを評価するのではなく、部下の育成能力も優れた監督者の要素として評価することが重要です。

 

4 部下からも学ぶという気持ちを持つ

 

監督者が部下よりもあらゆる能力に優れているということは通常ありません。部下の方が得意な分野や優れた感性などを持っている場合があります。また、仕事を取り巻く社会経済環境が複雑多様化してくると、自分にとっても部下にとっても未知の状況が起こります。部下の方が優れている点については部下から学び、監督者も部下も知らないことについては共に学ぶという気持ちを持つことが大切です。

 

5 部下の能力や意欲に合わせて指導する

 

監督者が自分の能力や意欲を基準として部下を指導した場合には、部下にとっては要求水準が高すぎて息切れしてしまう可能性があります。部下の指導は、自分のペースではなく、部下のペースで考え、従って、ときには忍耐も必要となります。また、人は自分が決めた事柄については実行しようという意欲を持ち、自主的、積極的に行動するものです。OJTの実施に際しては、部下の意見を聞き、一緒に決めるなどして、できる限り部下を参加させることが、その後の成果に大きな影響を与えます。

 

 

 

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