日本財団 図書館


シー卜52

 

研修ニーズの把握

 

部下に対してどのような研修が必要か、という「研修ニーズ」は、監督者が一番よく把握できる立場にあります。監督者は、部下の観察、部下との話し合い、部下からの自己申告などを通じて、部下の研修ニーズを把握することができます。なお、短期的な研修ニーズだけでなく、長期的なニーズも把握する必要があります。

研修ニーズの把握は、次のようなプロセスを経ると効果的に把握することができます。

 

1 部下に期待する能力の水準を考える

 

往々にして、監督者は自らの能力を基準にして、部下に期待してしまうことがあります。つまり、自らの能力・経験を基に、「この程度ならできて当然だ」と考えがちです。研修ニーズを判断する際には、業務執行に必要な能力レベル、その部下が現在有している能力レベルを基に、期待する能力を考えることが大切です。たとえば、次のように考えるといいでしょう。

・部下が担当している仕事の質、量、方法などについて、要求される水準を考える。そのため必要に応じ、部下と一緒に職務分析を行う。

・その仕事の達成に必要な知識や技能、あるいは経験の程度を把握する。

・仕事のマニュアルがあれば、その内容を部下が理解し、実施できるかどうかを把握する。

 

2 部下の現在の能力を検討する

 

部下が現在持っている知識、技能、態度などを以下のような方法により把握する。

・日常の勤務ぶりをよく観察する。

・仕事や報告書などのでき栄えをよく検討する。

・定期的な会合や日常の接触の中で、部下と仕事について話し合ってみる。

・ときどき課題を出したり、質問したりして、部下の能力の現状を把握する。

・部下の自己評価などを基にして話し合いをする。

 

3 期待する水準に達していない原因を調べる

 

部下の能力が期待する水準に達していない場合には、その原因が何であるかを観察、話し合いなどによって調査します。身体の状態が悪かったり、精神的な悩みを持っていたりする場合にも、部下の勤務ぶりは積極さを欠いてきます。また、部下同士の人間関係や監督者自身の態度に起因する場合もあります。それぞれの場合に応じて、適切な措置を取らなければなりません。

しかし、一般的には期待する水準に達していない原因は、知識や技能の不足による場合が多いと言えます。そして、期待する水準と実際の部下の能力水準とのギャップが研修ニーズであり、そのギャップを研修によって補う必要が生じます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION