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評定者は無意識のうちに、次のような誤った評定を行う可能性があるので、注意する必要があります。

・ハロー効果:ある能力に極めて優れた部下に対しては、その印象から他の能力についても優れていると判断する傾向。逆に、ある能力に劣る部下をすべての能力に乏しいと評価してしまう危険性もある。監督者は各評定項目ごとに独立して部下を評価し、単なる印象ではなく、事実に基づいて評価するように努めなければならない。

・寛大化傾向:実際よりもプラスに評価する傾向と部下に悪く思われたくない、評価を巡って部下と言い争いたくないとの思いから生じる。監督者は自分の判断に自信を持ち、厳しい評価をしても部下の信頼を損なわないだけの監督者としての実力を身につけることが大切です。

・中心化傾向:複数の部下の能力・実績の差を明確にせず、中央値あるいは平均値に評価する傾向。優秀な職員の活力をそぎ、能力の低い職員は自分の現状を肯定化し、向上心を持たなくなるおそれがある。監督者は自分の判断に自信を持ち、部下の能力、実績を的確に評価することが勤務評定の目的で、その結果、部下の評価に差が生ずることもやむを得ないと認識する必要があります。

・自己投影効果:自分を基準にして部下を評定する傾向。たとえば、自分と同じ意見を持っている部下を高く、異なる性格を有する部下を低く評価したりすること。また、自分の能力を基準にして部下を判断し、部下にとって厳しい評価を行うこと。監督者は、部下の職務遂行に必要な能力・職務態度に沿って評価すべきで、自らの能力・価値観を基に評価してはならないことを自覚しなければならない。

・初頭効果・親近性効果:早い時期の業績又は評価時期に最も近接する目立った業績に引きずられる傾向。たとえば、部下が行った最初の仕事に不満を有する上司は、その後、部下が優れた仕事を達成しても評価しなかったり、評価時期の直前にミスをした部下に対しては、以前の業績が優れていても低く評価したりすること。監督者は、勤務評定は評価期間全体を通じて評価すべきもので、業績の時期ではなく、その貢献度・重要度が評価対象であることを理解しなければならない。

 

3 評定結果について部下の納得を得る

 

評定はできる限り公正・客観的に行うことは当然ですが、監督者がいかに公正・客観的に評価したつもりでも、部下はその評定に対し完全に納得しないかも知れません。部下の評定に対する不満を放置しておくと、部下は上司そのものに不満を抱き、やる気を失うおそれがあります。監督者は、評価に関して部下と話し合い、できる限り部下の納得を得るよう努めることが重要です。

評価に対し、部下の納得を得るには、次のような点に努めるといいでしょう。

・勤務評定の目的について部下の理解を得る。

・勤務評定のときだけ部下と勤務評定について話し合うのではなく、日頃から部下と勤務ぶりについて意見を交換する。

・話し合う際には、監督者が一方的に評定結果を伝えるのではなく、部下に自らの勤務評定について意見を述べてもらう。

 

 

 

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