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シート42

 

勤務評定

 

勤務評定について、監督者として心得るべき点としては、次のような点があげられます。

 

1 勤務評定の目的を理解する

 

勤務評定は人事管理の道具ですが、その目的は下記のように様々です。勤務評定の目的は一つとは限りませんが、いずれの目的を最も重要なものとして位置づけるかにより、評定の思想が異なります。監督者としては、自らの組織の勤務評定の目的を理解する必要性があります。

(1)職務改善・能力開発

勤務評定を通じて、部下の仕事の質・量について監督者の評価をフィードバックすることにより、職員は今後の職務の改善を図ることができる。また、勤務評定により職員の能力を開発するにはどのような研修が必要かを把握することができる。監督者は、どのようにすれば部の職務を改善できるか、組織目標の達成に向けて、部下の能力を向上させるにはどうしたらいいか、という観点から勤務評定を実施することが期待される。

 

(2)適性配置

勤務評定を通して、部下の能力、特性を把握し、その適性を判断する。そして、部下の適性を活かした人事配置を行う。監督者は、現在の職務に対する部下の能力や適性のみならず、組織内の他の職務に対する部下の適性についても評価することが期待される。

 

(3)昇給

昇給について判断するために勤務評定を利用する。通常、昇給は現在の職務に対する業績に報いるためのものであり、評定も現在の職務に対する貢献度が中心となる。昇給枠には限りがあるので、絶対評価(昇給に値する勤務成績を残したか)のみならず、相対評価(どの職員に昇給を与えるか)も行う必要がある。

 

(4)任用

昇進、場合によっては、降格や解雇のために勤務評定を利用する。昇進に利用する場合には、現在の職務における業績のみならず、昇進する役職レベルの職務遂行能力があるか否か、つまり潜在能力の評価が重要になる。また、降格や解雇など、勤務評定の結果に基づき、職員にとって不利益な処分を行う場合には、将来、その評定の正当性が法的に争われるケースが想定されるので、評定を裏付ける具体的な事実を記録するなどの周到さが必要になる。

 

2 公正な評定に努める

 

勤務評定は、客観的、公平に行う必要があります。こうした公平性を確保するには、勤務評定の制度設計も重要ですが、実際に評定する監督者がいかに適切・公正な評価をするかが鍵になります。

 

 

 

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