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3 部下の理解

 

リーダーシップを発揮するためには、管理者は職場のメンバーに充足感を与える必要があります。

充足感を与えるための基本的な条件は、管理者が、まず、部下を理解することです。

部下は持って生まれた資質、育った環境、これまでの経験などがそれぞれ異なり、仕事に関する知識や技能、仕事に対する態度、抱いている興味や関心なども一人ひとり異なっています。管理者は、部下がどのような能力を有し、どんなことに関心を持ち、悩んでいるかについて正しく理解し、その理解に基づいて、それぞれの部下の適性・個人差を生かしつつ仕事の目標を達成していくことが望まれます。

部下を理解するには、部下が報告にきたり、仕事を遂行しているときに、注意深く観察する必要があります。特に、仕事や私事における悩みは、部下はなかなか自分から積極的に言い出さないことも多く、管理者が知らないうちに問題化してしまうことも少なくありません。ときには、昼食などを共にし、うち解けた雰囲気の中で部下が話せるような機会を設けることも必要です。大切なことは、部下が、「上司はいつも自分のことに関心を持ってくれている。」と感じることです。

 

4 集団の理解

 

部下が一人である場合には、その一人を理解すればよいことになりますが、部下が複数いる場合には、一人ひとりの部下を理解するほかに、集団としての部下を理解することが重要です。

職場には、課や係といった公式的な集団のほかに、昼食仲間、遊び仲間といった非公式な集団ができることがあります。そして、こうした非公式な職員間のつながりが職場の雰囲気や職務遂行に影響することも少なくありません。

公式の集団の意思や行動は、報告や会議といった機会を通して比較的簡単に理解できますが、非公式な集団については、集団そのものの存在を含め、把握が困難な場合があります。職場外のつながりだからとその存在を無視することなく、管理者は、非公式な集団についても関心を持ち、その集団の存在が仕事の遂行に好ましいものになるよう、また、少なくとも遂行の妨げにならないように方向づけていくことが大切です。

 

5 職場の活性化

 

このように管理者は部下一人ひとり、又は集団としての部下を理解し、部下が自らの才能を生かせるように配慮することが大切です。そして、全体として雰囲気がよく、明るい一体感のある活性化された職場にすることが重要です。

職場を活性化するには、部下が変わるのを待つのではなく、管理者自身が、意欲的に行動し、率先垂範することが大切です。部下は、このような管理者の姿を見てこそ、自らも変わり、職場は活性化していくのです。

 

 

 

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