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シート39

 

リーダーシップに優れた管理者とは

 

リーダーシップに優れた管理者とは次のような資質を有している管理者と言えます。

 

1 業務遂行能力

 

業務遂行能力は乏しいが、人柄がいい管理者に、部下が、心服することもないわけではありませんが、組織の管理者はその部門の仕事を達成するために存在する以上、業務遂行能力に優れた管理者の方がリーダーシップを発揮しやすいと言えます。

管理者は一般的には業務に熟達していますが、変化の激しい現代では新たな業務が生じ、そうした業務については部下の方が熟達している場合も少なくありません。たとえば、パソコンの操作についてはどうでしょうか。情報の収集や伝達などにパソコンは不可欠になりつつありますが、パソコン操作の習得を諦めて、すべて部下に頼っていませんか。新しい仕事については、部下より修得が遅れても、また技能面で劣っても仕方がありませんが、遅れても劣っていてもやれることが大切です。やれるようになって初めて、部下の仕事を本当に理解でき、適切な指示も出せるからです。細かい部分がわからなくても、業務の本質を理解していれば、管理者の信頼性が損なわれることはありません。むしろ、新しい業務に挑戦し、自己啓発する管理者の姿は、部下の指導・育成によい影響を与えます。

 

2 変革能力

 

管理者は、ややもすると長年にわたってなれ親しんだ仕事のやり方に心の安定を求め、その合理性さえ疑わないことも少なくありません。しかし、情報化、ソフト化など時代は大きく変わり、業務のあり方も大きく変えざるを得ない状況にあります。そのような中で、従来からの考え方や方法に閉じこもり、変革を拒否しているような管理者では、特に革新的な若手の部下から信頼を得ることは困難でしょう。

仕事の変革には斬新なアイデアなど創造力を必要としますが、必ずしも管理者自らが創造力に長けている必要はありません。部下の衆知を集め、創造力を活かすことが可能だからです。管理者がやらなければならないことは、変革に対する決断と実行です。

新しいアイデアは、それが斬新なものであればあるほど、失敗するリスクがあり、上司・同僚も心配します。しかし、そうした危惧を押してでも、部下と一緒に企画した新しいアイデアを実行しなければ、変革はいつまでも達成されません。特に、部下が出した変革案を、管理者の優柔不断により実施の時期を失したり、ちょっとした問題に遭遇して断念したりしては、部下の士気は低下し、以後リーダーシップを発揮することは困難になるでしょう。これからの管理者は、業務の変革に果敢に挑戦しなければ、部下の信頼は得られないでしょう。

 

 

 

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