日本財団 図書館


シー卜35

 

リーダーシップ

 

1 リーダーシップと管理者

 

リーダーシップとは、「集団のメンバーが協力して集団目標を達成するように仕向けるリーダーの働き」のことです。リーダーシップを効果的に発揮するためには、職場のリーダーである管理者は、業務の達成と集団のメンバー、すなわち部下の満足感の達成の両面に関心を持たなければなりません。

仕事のノルマが厳しい職場や仕事の遂行に厳しい管理者は、部下の満足感よりも目標の達成に重点を置き、部下は使い捨ての状態に置かれることも少なくありません。このような職場では、管理者の厳しいむちの下で、部下が必死に働き、短期的には業績が上がるかもしれません。しかし、表面上は服従しているように見えますが、長期的に見ると部下に不満がたまり、長い年月を要するような大きな仕事の達成は困難でしょう。

他方、業務の達成を強く要求しない職場や優しい管理者の下にある職場では、職場の集団が仲良くすることに重点が置かれ、雑談に花を咲かせたり私用を果たすことに忙しく、仕事の遂行が忘れ去られてしまうおそれがあります。特に、組織の業績が個人の給与水準に直結する民間企業と異なり、公務においては職場が明確な実績を残さなくても、各人の給与等にすぐには影響しないことから、こうした危険性がより大きいと言えます。

職場は仲良しクラブではありません。仕事をするための集団です。職場の本質を忘れてまで仲良くすることは本末転倒です。仲良くするのは、仕事を効果的・効率的に遂行するためであり、そのこと自体が目的ではないことを自覚する必要があります。

目標の達成と集団の維持のいずれにも偏ることなく、仕事の目標の効果的な達成に向けて、どうしたら部下全員の意欲をもりたてることができるかを考え、部下全員が自発的に自分の担当する仕事の遂行に積極的に取り組めるような状況を作り出し、さらには、そのような中で部下一人ひとりが成長できるようにしていくことが大切です。

 

2 リーダーシップの型

 

リーダーシップには、典型的なスタイルとして次の3つの型があると言われています。

(1)指示型

管理者が自分に権限を集中させて、一方的に部下に指示して仕事をさせるスタイル。目標達成への関心が強い管理者にはこのタイプに属する者が多い。このタイプの管理者は、一般に次のような言動を取る傾向がある。

・「黙って俺についてこい」という姿勢をとる。

・部下には仕事の細かい手順まで教えている。

・部下が遂行している仕事については、細かい点まで知ろうとする。

・意思決定は責任の所在を明らかにするために自分自身で行う。

・上司からの指示は自分一人で受ける。

・部下が仕事について相談にきたときには即断即決する。

・部下の仕事ぶりは自分自身で評価して、それに基づき修正させている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION