シー卜27
コスト意識
民間企業では、経費は企業の収益を左右し、社員の雇用・給与にも影響するため、コスト意識に敏感にならざるを得ません。一方、公務では、経費は予算により予め決められており、予算を使い切らないと翌年の予算が削減されるとの危惧から、その効果に関係なく、とにかく予算を使い切るということになりがちです。職員がコスト意識を持つようになるには、下記のような点に留意するといいでしょう。
1 経費とその効果を認識する
すべての活動には経費を要しています。そのことは誰でも理解していますが、実際にどの程度の経費を要しているかを認識している職員は少ないのではないでしょうか。コスト意識を鮮明にするためには、活動に伴う経費を、具体的な金額で認識することが大切です。
また、コスト意識を持つには、経費の額だけでなく、その経費に見合う効果があげられるかを検討することが大切です。つまり、コスト・パフォーマンスの検討です。たとえば、ある機械を導入する場合、その経費とともに、使用頻度や、それによって職務遂行や成果の達成にどのような効果が出るかを、あらかじめ検討することが大切です。
さらに、職員は、自らが納税者の立場に立った場合、そのような経費の使用を認めるだろうか、あるいは、国民にその経費や効果の説明を求められたら、自分はどのように説明するだろうか、という意識を持つことが大切です。
2 代替策について検討する
コスト意識を高めるには、現在の業務遂行とその代替策とを比較することも大切です。同じ目的を達するにも別の方策があり、同じ業務でも別の遂行方法があるのが普通です。それらの各代替策について、費用、業務遂行に要する時間及び効果を具体的に書き出して、現在の業務との優劣を比較してみましょう。
3 コスト削減を評価する
コスト意識が低い理由として、削減しても職員に何のメリットも生じないことがあげられます。監督者は、削減を達成した部下を高く評価したり、職員の評価にあたっては、実績に加え、実績達成に要した経費や人員なども考慮する必要があります。なお、経費削減を達成した場合、翌年の予算として繰り越せるようにするなど、削減のインセンティブを与えることも大切です。ただし、経費節約に走るあまり、業務遂行に臆病にならないように注意する必要があります。