シート26
2 公務遂行結果の評価
公務において生産性の議論が活発でない理由は、産出の評価の困難性にもあると考えられます。投入については、民間であれ、公務であれ、投入物は異なるにせよ、最終的には経費の支出(人件費、物品購入費、運営管理費など)という形で、測定することが可能です。一方、産出については、民間では、最終的には収入という金銭の形に集約されますが、公務においては、成果をどのように把握し、測定するかについて困難を伴い、明確な手法が確立されていないのが現状です。
こうした成果測定の困難さに加えて、成果が不十分だったと判断された場合には、その計画立案者・実施担当部署が責任を問われ、計画の廃止又は修正を迫られることに対する拒否感が、公務での成果測定があまり行われていない原因とも考えられます。また、この拒否感は、担当部署が自ら評価する場合に、その計画の成果を正当化するように恣意的に評価したり、外部から評価を受ける場合に、マイナス評価につながるような情報や資料などは開示したがらない、といった傾向にも見られます。
しかし、情報公開制度により、公務の有する情報が開示されるようになると、外部者による評価が容易になり、また、今まで以上に公務活動に対する国民の目は厳しくなります。こうした状況に呼応して、公務自らが各業務の評価を実施し、その結果を公表せざるを得なくなります。むしろ、こうした受け身的な姿勢ではなく、最も正確、適切に成果を判断しうる担当部署が、客観的に自らの業務を評価し、その結果を公表して、改めるべきは改め、国民の公務遂行に対する信頼を積極的に得る姿勢が求められていると言えます。
3 生産性に対する意識付け
生産性向上のポイントは、組織・職員が絶えず生産性を意識することです。そのためには、生産性向上が職員にとって利益をもたらすことを強調する必要があります。往々にして、生産性向上は、能率向上(産出を変えずに投入を少なくすること)、つまり業務や人員の合理化と同義に考えられ、職員の反発を招くおそれがあります。職場の監督者としては、合理化は生産性向上の一つの側面に過ぎないことを理解し、部下と共に、投入量は変えずに、産出を大きくするというもう一つの面の生産性向上に努めることが大切です。
なお、生産性を意識するといっても、生産性の測定自体が目的とならないように注意する必要があります。測定の対象としている活動が、成果の増大又は能率の向上に寄与するものではないにもかかわらず、何でもかんでも測定しようとしたり、測定方法を精緻なものにするために余計な労力を使用することのないように留意しなければなりません。