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シート24

 

ネットワーク化と業務遂行方法の変化

 

近年、各職員にパソコンを配備し、それをネットワーク化することにより、情報の共有、収集、発信をより効果的・効率的に行い、創造性を高めようとする職場が増えています。しかし、ネットワーク化は道具であり、それ自体では創造性向上にはつながりません。創造性を向上させるには、職場の監督者が、ネットワーク化が業務遂行方法にもたらす変化を理解し、それにふさわしい役割を果たす必要があります。

ネットワーク化は業務遂行方法にどのような変化をもたらすか、それに対して、職場の監督者はどのように対応したらいいかについて考えてみましょう。

 

○情報は上司や組織、時間を越えてやり取りされる

従来、組織の方針などに関する情報は、局長から課長、課長から係長へ、係長から課員へと流れ、現場の情報は逆に、課員から係長へ、係長から課長へと流れていました。つまり情報は、組織の階層に沿って「上から下へ」又は「下から上へ」と流れるのが一般的でした。

こうした情報の流れの中では、上司は、情報・意見をコントロールすることができます。上から流れてきた情報を下に流すかどうか、下から上がってきた意見を上に流すかどうかは、上司次第になります。流す場合でも、自分の意見を織り込んだ上で、流すことができます。上司は、情報の流れを制御することにより、部下に対する優位性を保ってきたとも言えます。

ところが、ネットワークが構築されると、情報は個人から個人へと、階層を飛び越えて行き来しやすくなります。トップは自らの考えを、全職員に直接伝え、職員の反応を直に聞くことができるようになりますし、課員は、それに対応して、自分の意見を、直接幹部に伝えることもできるようになります。また、電子メールを通じて、階層のみならず組織を越えて情報・意見を交換することも可能になります。

ネットワークを通じての意見のやり取りでは、周囲の目を気にすることなく、自由な雰囲気で行うことができます。たとえば、会議では出席している幹部職員の意見や、大勢となりつつある意見に反対意見を述べるには勇気が必要です。しかし、相手の顔が見えないネットワーク上のやり取りでは、比較的自分の意見を率直に述べやすいと言えます。さらに、口頭表現とは異なって文章表現では、前置きや脱線が少なく、意見が論理的・ストレートに表明される傾向があります。

(監督者の対応)

・情報のコントロールではなく、情報をいかに分析して、付加価値をつけるかに、上司としての存在意義があることを認識する。

・ネットワーク上の情報交換、意見交換では、論理的な思考は伝わりやすいが、情緒的な事柄は伝わりにくいので、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションも重要であることを課員に認識させる。

・階層や組織の壁を越えた、情報・意見のやり取りが新たな発想を生み出すことを認識して、そうした自由なコミュニケーションを許容し、部署・組織を越えた外部への発信権限を可能な限り各職員に与える。

 

 

 

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