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シート19

 

コミュニケーションの阻害要因

 

組織では、人は強制的に他の人と関係づけられます。仕事に堪能で人柄がよく、相性が合う上司の下で働きたいとっても、そのような上司の下に配置されるとは限りません。気に入らない人とは口をきかずに過ごせるなら問題ありませんが、職場ではそうもいきません。いやでも、コミュニケーションを図っていかなければならないのが組織に勤める者の義務です。

組織はそのためにコミュニケーションに関する様々な仕組みを設け、強制的にコミュニケーションを図らせようとします。しかし、いかによい仕組みを作っても、下記のような要因が存在すると、円滑なコミュニケーションの実現は困難になります。

 

1 相手が不適切

 

コミュニケーションの相手が適切でない場合、たとえば、本来の受け手でない人に伝えてしまったような場合には、送り手としては相手にきちんと伝えたと思っていても、受け手はその情報がなぜ伝えられたのか理解できず、本来の目的は果たせないでしょう。

 

2 表現能力の不足

 

コミュニケーションが成立するためには、送り手の意思や情報が正確に相手に伝わらなければなりません。しかし、送り手の表現力が不足していると、送り手としては伝えたと思っても、受け手には正確に伝わっていない場合があります。このような場合には受け手は戸惑ったり、誤解したまま行動して失敗する原因ともなります。

 

3 当事者の気後れや人見知り

 

気心の知れた友人と、食後のコーヒ‐を飲みながら話すときに緊張するという人はいません。しかし、大勢の人が集まった会議で改って話したり、組織のトップに説明をしたり、これまで会ったことのない人と大事な用件で話をするようなときには、大抵の人は緊張します。

このように相手に対する気後れや人見知りの気持ちがあると、自発的、積極的に相手とコミュニケーションを取ることができず、消極的になってしまいます。送り手が、自らその発信を抑えてしまったのでは、コミュニケーションは成り立ちません。

 

4 強い固定観念、先入観

 

送り手に対する固定観念や誤った先入観があると、送り手の意思や情報が素直に伝わりません。どのような内容の情報でも、あらかじめ持っている固定観念や先入観のフィルターがかかってしまうからです。たとえば、相手は自分を困らそうとしているという固定観念があると、相手からの情報には自分にとって不利な要因が含まれているのではないかと疑い、情報を正確に受けることができません。逆に、相手に好意を寄せ過ぎている場合には、相手からの情報をすべてよい方向に解釈してしまい、コミュニケーションが歪んでしまいます。

 

 

 

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