シート17
(3)各部の推薦に任せる方法
利点
・各部のプロジェクトに対する意識の高まりが期待できる。
欠点
・事務局が期待するような知識、経験を有する職員が推薦されるとは限らない。
(1)〜(3)のどの方法が適切かは、組織の事情、事務局と各部門との関係等によって異なります。本ケースについては、組織の事情などが明らかでないため、いずれの方法が適切だったかを判断することは困難です。しかし、人選方法と同様に重要な、人選の依頼方法については問題があったと考えられます。
すなわち、本ケースでは企画部長名で各部長に依頼文を出したのですが、それにとどまらず、関係各課の課長に対し、廃棄物ゼロコミュニティーの構想、プロジェクトチームのねらい・目的、メンバーの役割などについて説明し、各課長の了解を直接得るべきだったと考えられます。関係各課の課長は、部長宛の依頼文により依頼される前に、直接企画課から依頼を受けていれば、より協力的な姿勢を取ったと推測されます。
3 プロジェクトチームの執務体制
このケースでは、メンバーは週1〜2回の検討会議に出ればいいことになっています。すなわち、メンバーは、所属部署の職務を行いながらプロジェクトチームの検討に従事するわけで、どうしても所属部署の業務を優先し、メンバーとしての活動は後回しになりがちです。そして、所属部署の利害を離れて広い視野から発想し、率直な意見を述べることは困難になるでしょう。また、メンバーには、その業務が自らの職務であるとの意識やチームに対する帰属感も育まれないでしょう。
本ケースのプロジェクトチームの業務量は明らかではありませんが、企画課の関与の量を縮小するなどの方法により、各課のメンバーをフルタイムとしてチームの業務に従事させた方が、より効率的な検討が可能だったのではないかと考えられます。
4 プロジェクトチームでの運営が行き詰まったときの対応
この事例で石田課長は、計画案の最終案作成が行き詰まったとき、自ら最終案を作成しましたが、それが各課の反発を招いたとも考えられます。チームの運営が行き詰まったときには、問題の性質を見極めながら、チーム内ではなく、チーム外の判断を求めることが有効な場合があります。たとえば、このケースでは、最終案全体を問題にするのではなく、各課の対立点をできる限り具体的に絞り込み、その点について関係各課の意見を求めたり、企画部長から各部の部長に諮ってもらうことも効果的だったと思われます。ただし、プロジェクトチームでの対立点について、あまり頻繁に外部の意見を聴取すると、メンバーの士気を喪失させることにもなりかねないので、注意を要します。