シート17
「あるプロジェクトチーム」の手引き
このケースの主なポイントとしては、次の点があげられます。
1 プロジェクトチーム設立の決定
プロジェクトチームの成否には、関係部局の協力が不可欠で、協力を得るためにはチームの設立・権限・位置づけに対し、各部局の合意を得ておくことが重要です。このケースでは、プロジェクトチームの設立や役割などについて、企画部だけの判断で決めたことが窺われます。さらに市長の構想を実現するためチームを設立するという姿勢が前面に出すぎていて、各部局は、無理やり協力を押しつけられたと感じたかも知れません。
チームの設立や位置づけに対し、各部局に意見を求めるなどして、合意を得、さらに必要があれば、既存の組織の権限とチームの権限との関係を整理した上でチームを設立していれば、よりスムーズに各部局の協力を得られたと思われます。
2 プロジェクトチームの人選
プロジェクトチームの人選方法としては、事務局が主導して指名する方法(メンバーを直接指名する方法と各部の特定のポストを指名する方法がある)と各部に任せる方法が考えられます。それぞれの利点と欠点としては次のような点があげられます。
(1)事務局がメンバーを指名する方法
利点
・各組織の実力者を配することができる。そうすることにより、プロジェクトの決定を実施する際にスムーズに執行できる。
・優秀な人材を集めることができる。
・メンバーの役職・年齢のバランスを図りやすい。
欠点
・各組織の平常業務との兼ね合いをどのようにつけるかという問題が生じやすい。
・優秀な人材をプロジェクトに取られることにより、各組織が事務局に反発する可能性がある。
・事務局が勝手にメンバーを選んだことにより、各組織は事務局のプロジェクトであるとして、協力的な姿勢を取らない可能性がある。
(2)事務局が各部の特定ポストを指定する方法
利点
・事務局は必要な情報や知識を持ったメンバーを集めやすい。
・メンバーの役職、年齢のバランスを図りやすい。
欠点
・異なる発想に基づく新鮮な提案が出にくい。
・メンバーは役職上仕方なく参加しているという意識から、消極的になる傾向がある。