シート16
「あるプロジェクトチーム」
「地球環境を守ろう」という市民の声が、このところ盛り上がってきています。A市では、これまで市の清掃事務所や市民の自主組織等がバラバラにリサイクルに取り組んできたが、市民の声や議会の要望を受け、市長が廃棄物ゼロコミュニティー構想を打ち出し、市として包括的なリサイクル活動を開始することになった。
市長は、できる限り広い角度からリサイクル計画を検討させるため、総合的な企画立案を所掌する企画部に活動計画案作成を命じた。市長の命を受けた企画部では、リサイクル活動計画案作成には、関係各課の協力が不可欠と判断し、各課の職員から構成するプロジェクトチームを設けることにした。プロジェクトチームには、計画案に各課の意見を反映させるだけでなく、計画の実施段階で各課の協力を得やすくする、というねらいもあった。
プロジェクトチームには、市民部市民運動課、環境部廃棄物処理課、商工部総務課、総務部総務課、財政部歳出課の5つの課から職員を1人ずつ出してもらい、ヘッドには企画部企画課の石田課長をあて、また、主に事務作業を担当させるため企画部の若手職員2名を配置することにした。なお、各課からの職員の人選については、その役職、経験なども含め、各課に一任することにした。
各課への依頼は、企画部長名による関係部長宛の文書により行うことにした。その依頼文には、1]プロジェクトチームの目的は、市長の廃棄物ゼロコミュニテイー構想の原案を作成すること、2]メンバーには週に1、2回の会議に出席してもらうほか、必要に応じ原案作成のための作業に従事してもらうこと、3]原案作成期間は3か月を予定していること、を明記し、各課に1名の職員の推薦を依頼するものだった。
数日後、各課からの推薦があがってきた。メンバーは20代半ばの若手職員からベテランの課長補佐まで、年齢、役職、経験などは様々だった。
初会合では市長の出席を仰ぎ、廃棄物ゼロコミュニティー構想について抱負を語ってもらった。続いて石田課長がプロジェクトチームを発足させるに至った経緯及びその目的、議会や市民の動向、原案作成のスケジュール等を詳しく説明した。
また、石田課長は、プロジェクトチームのメンバーに、1]自分の所属している部署の利害にとらわれず、広い視野から検討して欲しい、2]チームの討議では、役職、年齢、経験等にこだわらず積極的に意見を交換して欲しい、3]なによりも全員が協力し合って楽しくやりたい、とメンバーとしての心構えについても理解を求めた。
プロジェクトチームは、予定どおり週1〜2回のベースで検討会議を開催し、いろいろな問題の検討を行った。若手職員の中には、今までの役所の発想を越えるような新たな取組みを提案する者もいたし、あるベテラン職員はこれまでの経験から関係機関や各市民組織に参加してもらうための具体策を提案した。一方、本務が忙しいとか、休暇を取るとかの理由により、欠席するメンバーもおり、また、検討の際、問題点ばかりを指摘し、その解決策については何も述べない者もいた。なお、検討会議の模様については、その概要をまとめたものを次回の会議開催前に、メンバー全員に配布するとともに、関係各課にも配った。