シート10
目標による管理
目標による管理は、以前は、組織全体の目標を達成するための手法として位置づけられていました。つまり、組織の目標を細分化した形で個々の職員の目標を設定し、その個々の目標達成を管理し、達成させることにより組織の業績を向上させるためです。そして、目標達成と職員の人事考課を直結させることもありました。
現在は、個人の自発性を尊重して目標を設定、達成することにより、組織目標の達成を目指すとともに、職員を動機づけるための手法として、目標による管理を利用している組織が多くなってきています。つまり、組織目標と個人目標の調和が目標による管理の理念になってきています。
目標による管理は、目標設定、目標遂行過程、目標達成度の評価の3つのプロセスから構成されます。
1 目標の設定
組織には達成しようとする目標があり、その目標に向けて組織構成員が業務を遂行します。しかし、目標の設定は、全組織的、あるいは、せいぜい部門別に設定される場合が多いようです。そのため、組織の階層が下になればなるほど、仕事を一生懸命にやっているにもかかわらず、その結果が、組織が本来期待する成果とかけ離れてしまうことがあります。このようなことを避けるため、組織が期待する成果を細分して、一人ひとりの職員に具体的な目標として割り当て、各人の成果を組織の成果に直結させることが必要です。
目標の設定については、以下の点に注意する必要があります。
・職員にやる気を出させるように、具体的、かつ、現実的な目標を設定する。
・目標による管理の目的を職員にも理解させ、その目的に合致した目標を設定する。
・目標の設定基準を明らかにし、職場や監督者ごとに設定基準が異ならないようにする。
・何をもって目標の達成と判断するかの達成基準を明確にする。
・短期的目標ばかりに偏重せず、中・長期的な視点も加味する。チャレンジ精神を尊重する。
・監督者だけの判断で設定せず、目標設定に部下を積極的に参加させる。
2 目標の遂行過程
目標が決定したら、部下はその目標の達成を目指して職務を遂行することになります。目標達成の成否により部下に優劣をつけることが目標による管理の目的ではないので、上司は目標が達成されるよう必要な支援を行うことが大切です。
具体的には、以下の点に注意する必要があります。
・目標達成の進捗状況を調べ、監督者としての判断・評価をフィードバックし、部下を動機づける。
・目標達成に必要な情報などは部下と共有する。
・目標達成に必要な権限はできるだけ部下に委譲し、自主性を養う。
・途中で、目標達成が不可能であることが判明したときには、必要に応じ、目標自体を修正する。