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[税制の簡素化]

・現在の税の仕組み・制度・体系は税務職員にとっても、またそれ以上に住民にとっても大変理解しづらいものとなっている。税制を誰もが分かるような簡潔明瞭なものにしていくことが、地方分権を推進していく中で取り組まなければならない最重要な課題の1つである。

・地方税にあっては、専門職化が難しい。住民にとってよりわかりやすいものとするため、税額の算定方式等をもっと簡易なものにし、特例制度を極力廃止するということも必要である。

・地方団体の自主的な課税権の行使が尊重されるべきことを考えれば、地方税法の簡素化が必要である。地方税法においては大枠を定めることとし、地方税法における特例措置、非課税措置などは徐々に縮小することが望ましい。

 

[徴収体制の整備]

・規模の小さな市町村は人材の問題や事務量の問題から、おのずと徴収能力に限界が見えてくる。コストや人事の問題から徴収のプロフェッショナルを確保することは難しい。これに対応するためには、例えば徴収事務専門の一部事務組合を設立するというようなことも考えられる。

・税源移譲後の自治体には、税に関する企画立案事務及び執行実務において高度な能力が、今まで以上に求められることから、それに対応することができる人材育成が急務であると思われる。

・納税者番号制度の早期採用による納税義務者の的確な把握を図る。

・許認可事務とリンケージした税制の検討を考える必要があるのではないか。例えば、行政サービスの受益や公共事業の請負などの際の資格基準として、納税証明書の提出を義務づけている場合、全ての税目に関する納税証明書の提出を求めるべきである。

 

[市町村合併・広域化]

・地方分権推進に当たっては、自治体間の体力はかなり異なっており、同レベルの住民サービス提供を行うためには、税制だけの問題で解決は不可能と思われるので市町村合併等の推進も必要と思われる。

・今後税源移譲や地方財政調整機能を検討する場合は、住民の生活圏や経済の広域化という現実面から地方団体の規模の適正化を考慮する必要があると考える。

 

[超過課税、法定外普通税・法定外目的税の活用]

・法定外普通税・法定外目的税・超過課税等について、税を新設し、課税する場合、他市町村の状況等も関連するため、当市だけが議会並びに納税者の理解を得ることは難しいと思われる。

・地方団体に必要な基本的な税目は何かという観点から現行税目を整理し、これ以外の税目については、自由に法定外税目を創設できる制度に改めることが第一と考える。

・地方の行政改善を推進する中で、地方団体の行うサービスに格別の独自性を発揮することが困難な状況において、住民に求める税負担の水準の目安となる標準税率や制限税率をすべて撤廃してしまうこととなると、税率採用についての住民への説明が一層困難となることが懸念される。

 

[行政改革]

・地方税財源の充実を目指すにあたっては、単に地方の税財源の拡充のみを求めるのではなく、先ずもって地方公共団体としての役割を一層、効率・効果的に果たし、国と地方を通じた国民の税負担が極力増加することのないよう努めていくことが肝要であると考える。

・先ず、地方自治体の役割を徹底的に議論すべきである。そして地方団体の行う事業を決定し、現行税制で財源を確保できないとすれば事業を実施しないか、新たな負担を求めるかの選択となる。いずれにしろ税制のあり方や地方税の充実の課題は行政改革の枠組みの中で考えていく課題であると思う。

 

 

 

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