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さらに4]を選択した場合の具体的内容をみると、「町村では専門の職員の配置など難しい面もあるため、都道府県や他の市町村との連携の一層の強化が必要。」(11団体)、「税の徴収率の向上が最重要課題であり、広域的に滞納整理を行うための組織を設置する必要がある。」(5団体)といった意見が多かった。なお、5]の「その他」を選択した団体は10団体(10.6%)あったが、具体的な内容としては、「規模の小さな団体では、単独で対応していくのは困難。三税協力の一層の推進が不可欠。」(3団体)、「納税者番号制度の早期確立を図る必要がある。」(1団体)といった意見があった。

有識者

・有識者においては、2]、3]、4]を選択したのが最も多く、いずれも9人(52.9%)であった。地方団体においては、7割近くの回答が得られた1]の「税務部門の体制充実」は、6人(35.3%)であった。具体的内容をみると、「現行地方税は、国税の賦課徴収の結果に依存するところが大きい。地方団体の課税権を独立させるには、税務部門の体制の充実が重要。」(回答1]、1人)、「税務の情報交換が徴税を確実にするため、地方団体相互の連携、協力体制の拡充が重要」(回答4]、1人)などという意見があった。

 

【その他】

問19 このほか、分権型社会に対応した地方税制のあり方や地方税の充実に関してご意見などございましたらご自由にお書きください。

 

最後に分権型社会に対応した地方税制のあり方や地方税の充実に関してのご意見を自由に記述していただいたので、主立った意見について紹介する。

 

地方団体

[望ましい地方税体系]

・国税の基幹税目である所得税・法人税の一部を移譲する場合、必ずしも独立税として移譲される必要はないが、地方分権の趣旨にかんがみ、地方の独自性が反映される姿であることが望ましい。

・所得税や消費税などについて、国から地方への税源移譲を行うとともに、地方団体の税収に重要な地位を占める法人所得課税について、外形標準を早期に導入するなど、地方税収の安定化を図るべきである。

・地方税の現状は、ほとんどが国税と課税客体が一緒で、地方税制度が後から創設され、税率等が不利になっているケースが多いため、今後は、国と地方の課税客体等を総合的に調整して、たとえば、国は所得課税、都道府県は消費・流通課税、市町村は資産課税にすること等が想定される。

・税源移譲、税源配分の見直しにあたっては、特定の団体のみに有利となるようなことのないよう十分な配慮が必要と考える。

・国と地方の税源配分のあり方や地方税の充実を検討するにあたっては大都市とそれ以外の市町村を一律に考えるのではなく「税源のあるところには地方税を、税源のないところには地方交付税を」という方向を基本とするべきである。

・ナショナルミニマム確保の点では、引き続き地方交付税制度等の財源再配分機能を活かしつつ、リージョナルマキシマム実現に向けて、住民が選択した行政サービスに相応する税負担という受益と負担の関係が明瞭な地方税制の構築を図っていく必要がある。

・分権型社会においては、全市町村を画一的に扱うのではなく、市町村の規模や財政需要に応じた複線型の税制度が必要になるものと考えられる。

 

 

 

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