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(全体の概要)地方団体間の税率のバラツキについて、どのように考えるかを問うものである。全体の傾向をみると、1]の「できるだけ全団体が同じ税率の方が望ましい。」を選択した団体が最も多く、6割以上(155団体、61.5%)を占めた。次いで、2]の「団体ごとに税率が違うのは当然であり、他の団体の状況に影響される必要はない。」(62団体、24.6%)、3番目が3]の「税目によっては税率が異なっていても差し支えない。」(35団体、13.9%)であった。なお、全体の傾向は、地方団体の傾向を反映したもので、有識者については、2]の「団体ごとに税率が違うのは当然であり、他の団体の状況に影響される必要はない。」が7割以上と最も多く、地方団体とは異なる結果となった。

 

(団体区分別の結果)次に、団体区分別の集計結果については、以下のとおりとなった。

都道府県

・都道府県においては、1]の「できるだけ全団体が同じ税率の方が望ましい。」を選択した団体が最も多く(26団体、55.3%)、過半数を占める結果となった。3]を選択した団体の割合は、市・町村より高かったがその税目と理由についてみると、法人道府県民税や法人事業税といった法人関係税が多く、理由としては、「担税力があるということ」(2団体)、「納税者の理解を得ることが比較的容易であること」(2団体)などがあげられている。また、「現時点では具体的な税目はあげられないが、地域の実情に応じて、行政サービスの内容により税率が異なることは自然のことである。」(2団体)といった回答もあった。

・市においても、1]の「できるだけ全団体が同じ税率の方が望ましい。」を選択した団体が最も多く(55団体、58.5%)、過半数を占める結果となった。なお、3]を選択した場合の税目と理由についてみると、個人住民税については、「地方のあるべき行政需要、サービスにはそれぞれ違いがあり、住民に対して受益と負担の関連性を理解してもらい、税を通じて行政サービスを選択することが望ましい。」(1団体)、固定資産税・都市計画税については、「負担水準の均衡化に対し、その水準が低いことから地価動向と税負担にかい離があるため。」(1団体)などがあげられている。また、具体的な税目はあげられていないが、「目的税については、地域の実情の違いなどにより、税率に差異が生じてもやむを得ない。」(2団体)といった回答もあった。

町村

・町村においても、1]の「できるだけ全団体が同じ税率の方が望ましい。」を選択した団体が最も多く(73団体、77.7%)、都道府県、市よりも高い割合を示した。なお、3]を選択した場合の税目と理由について、いくつかあげると個人住民税や法人住民税については、「町の財政状況に余裕がない。」(1団体)、固定資産税については、「現在も超過課税を行っており、財政事情からやむを得ない。」(2団体)、「土地の価格に相当の格差がある。」(1団体)、「課税物件が定着し、団体間の異動がないため。」(1団体)といった回答があった。

有識者

・有識者においては、地方団体とは異なり、2]の「税目によっては税率が異なっていても差し支えない。」を選択した回答が最も多く(13人、76.5%)、地方団体では最も回答の多かった1]の「できるだけ全団体が同じ税率の方が望ましい。」を選択したのは1人(5.9%)だけであった。

また、3]を選択した場合の税目(理由)としては、「地方消費税、たばこ税、軽油引取税以外の全ての税目(団体ごとに税率が異なることが明らかに不適切なもの以外は、団体の決定、団体の意思によって税率が異なっていて当然である。)」や「固定資産税(土地は全国的に普遍的な課税ベースである。各地方団体は、必要なコストのうち一定程度はその地域内で確保する必要がある。その際、有力な課税ベースは土地であり、地価等に対する実効税率が地域によって異なるのは当然のことと考える。)」などの回答があった。

 

 

 

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