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次に、売上税や個人所得税、財産税といった代表的な州・地方税の仕組みについても、州や地方団体によって異なる。まず、表1は州売上税の税率、課税ベース等を示したものであるが、1997年度の場合、税率は最も高いのがミシシッピー州とロードアイランド州の7%で、最も低い税率はコロラド州の3%、バージニア州の3.5%となっている。税率5%の州が13州で最も多く、6%の10州、4%の8州などと続く。

課税ベースに関して、食料品を非課税にしている州(1997年度)は27州(コロンビア特別区を含む)で、課税している州の19州を上回っている。ただし、食料品非課税の州のうち、コロンビア特別区とメリーランド州、ウィスコンシン州はスナック食品を非課税から除外しているほか、課税州のイリノイ州では食料品に軽減税率を適用する。医療サービスは大半の州で売上税を課税されないが、ハワイ、ニューメキシコの2州では課税対象となっている。処方薬はイリノイ、ニューメキシコの2州のみで課税され、残りの州では非課税であるが、非処方薬については課税する州が39州、非課税州が7州(コロンビア特別区を含む)である。経済のサービス化が進むなか、サービスを課税対象にいかに取り込むかが多くの州で売上税制上の重要な課題であるが、現在、原則課税(非課税を限定列挙)の州が14州(コロンビア特別区を含む)、原則非課税で課税サービスを列挙する方式をとる州が5州、そして、非課税の州が27州となっている。

次に、州個人所得税についてみると、表2が示すように州間での仕組みの差異はさらに大きく、複雑となる。税率構造はイリノイやインディアナ、ミシガンなど5州のようにフラット・タックスを採用する州がある一方で、ミズーリ州やモンタナ州のように10段階の累進税率で課税する州も存在する。1997年度の税制で最高限界税率が高いのはモンタナ州(11%)、ハワイ州(10%)、アイオワ州(9.98%)、コロンビア特別区(9.5%)などで、低いのはコネチカット州(4.5%)、アラバマ州、ミーシシッピー州、メリーランド州(ともに5%)、アリゾナ州(5.6%)などである。また、個人所得税を課税している44州(コロンビア特別区を含む)のうち37州において連邦所得税の課税所得が課税ベースとして採用されている。人的控除の金額は基礎控除、扶養控除がそれぞれ20ドルというケンタッキー州、アーカンソー州から、基礎控除12,000ドル(扶養控除なし)のコネチカット州、基礎控除6,000ドル、扶養控除1,500ドルのミシシッピー州までさまざまである。また、経費の概算控除を選択できる州が30州であるのに対し、選択できない州は14州となっている。

次に、表3は州法人所得税め概要を示したものである。1997年度の段階で法人所得税を課税している州は46州あるが、単一税率を採用する州が32州で、2段階と3段階、4段階の税率の州がそれぞれ3州、5段階と6段階が各2州、そして10段階の税率の州が1州となっている。税率水準は単一税率の州で最も高い州はコネチカット州の10.5%、ペンシルバニア州の9.99%、ウェスト・バージニア州の9%で、逆に低いのはインディアナ州の3.4%、カンザスの4%などである。課税ベースについて、アラスカ、アーカンソー、ミシシッピーの3州を除く43州で連邦法人所得税の課税所得が州法人所得税の課税ベースとして用いられている。

 

 

 

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