3-2 不均一税の転嫁・帰着の基本モデル
Hobson modelの主な前提条件は次の通りである
・独立した多数のコミュニティが存在し、各々で住宅サービスの生産が同じ線形一次同次の生産関数の下で資本と土地を投入して行われている。
・住宅財・サービスの生産だけが唯一の明示的な生産形態で、産出高や価格が外生的に決定される消費財部門も存在する。
・市場は完全競争的である。
・固定資産税は居住用の土地と資本(建物)に賦課されている。
・人口は非可動的(EAU=0)、土地供給は固定的(EZ=0)であり、資本は可動的である。
その他、税収の効果を捨象して基本モデルが示される(4)。
各地域に高低差のある固定資産税が導入されると、高税率地域から低税率地域へ資本移動が生じ、全地域の税引純収益率が均等化するまで続くであろう。その結果、全地域の資本価格PKがネットで平均税率分だけ低下する。これは税が資本所有者に帰着したことを意味する。
この資本報酬価格PKへの税の影響が?式で表される(4)。
(ただし、σは資本と土地の代替弾力性を、ηは住宅需要の価格弾力性を表す)
上の式が示すように土地供給の価格弾力性EZがゼロの時、平均税率に相当する資本価格の下落が見られる。
一方、固定資産税の土地価格PZiヘの影響は、資本流出にともなう資本・土地比率の低下から生じる土地価格の下落として把握されうる。下の式は、資本と土地の要素代替弾力性が小さいほど、住宅需要の価格弾力性が大きいほど、そして当該地域の税率が平均税率を上回るほど、土地価格が大幅に下落することを示している。
3-3 分析結果