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生産要素はその限界生産物価値に等しい報酬を受け取る。また公共支出のあり方と水準とは、住宅サービスの価格や立地条件に影響を及ぼすが、分析の単純化のために捨象されている。生産物市場と要素市場は完全競争状態にあるものと仮定される。ここに再生産可能資本(reproducible capital)に対する単位当り固定資産税を導入した場合の経済効果が分析される。

 

2-3 均一固定資産税の帰着分析

まず再生可能資本に対して、全国的規模で導入される「均一固定資産税」の影響が考察され、税負担はすべての資本所有者に帰着するとの結論が導き出される。

Mieszkowskiは全資本に同一税率で賦課される固定資産税を逃れることは不可能であるとし、一般的固定資産税が伝統的見解とは異なっていわゆる「物品税効果」を持たず、住宅サービス価格の引上げは不可能であると主張した。この差異はオールド・ビューまたは伝統的立場においては特定の1地域に導入された固定資産税を対象にしているのに対して、ニュー・ビューにおいてはすべての地域を網羅する経済全体を対象にしていることからきている。次に考察する不均一の固定資産税の場合には、Mieszkowskiは部分的な物品税効果を認めている点から見れば、両見解は矛盾するものではないといってよいであろう。

ところで固定資産税は多くの国において地方税に分類されており、均一税率であるよりもむしろ不均一税率を採っている場合の方が一般的である。より現実的なモデルにするためには、まず多数の地域(community)が異なる税率、異なる評価方法、異なるカバリッジで課税するという状況を考慮する必要がある。

 

2-4 不均一固定資産税の帰着分析

Mieszkowskiは各地域ごとに異なる税率の固定資産税が導入される場合を分析した。議論の単純化のために、次のような仮定を置いている。

・資本、労働及び土地の3要素を投入とする一次同次の生産関数が想定され、規模の経済が作用しないこと。

・資本需要も労働需要も賃金、利子率、固定資産税及び財の生産量に依存すること、相対的要素価格の変化につれて要素代替が生じること。

・資本とともに労働も地域間で完全に可動的であり、税引き資本収益率も賃金率も経済全体を通じて同一となること。

・土地は不完全移動の生産要素として特徴付けられ、産業立地が特定地域に固定されていること。

・就労地域と居住地域との関連は薄いが、住宅価格の相対的変化が起こると居住地域選択に影響を与える可能性があること。

ここにいまA、Bの2地域のみが存在し固定資産税を導入するとしよう。Aの方がBよりも高い税率を設定した場合、Aの資本の税引収益率はBよりも低くなるため、高税率を逃れてAの資本は低税率のB地域へシフトするであろう。

 

 

 

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