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(4)平成11年度の恒久的減税

小渕総理大臣は平成10年8月の所信表明演説においてわが国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向け、抜本的な見直しを展望しつつ、景気対策に最大配慮して、6兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施することを表明した。

具体的には、個人所得課税については減税規模4兆円で、所得税と住民税を合わせた最高税率を65%から50%に引き下げ、法人課税については、国税、地方税を合わせた法人所得に対する実効税率を40%程度に引き下げるというものであった。

「恒久的な減税」とは、特に法律改正を行わない限り継続していく期限を定めない減税のことで、1年限りといった期限を切った特別減税とは異なるものである。

この6兆円を超える規模の減税を国と地方でどのように負担するかが議論になったわけだが、地方団体の側からは、景気対策としての減税は、本来国の責任と負担において行われるべきであり、地方にも一定の減税を求める場合には、その減収は国税からの税源移譲により補てんすることを基本とすべきであるとの考えが示された。

平成10年度の地方財政は、度重なる経済対策の実施等により借入金残高が累増し、税収も地方財政計画に対して3兆円程度落ち込むことが見込まれるなど、国・地方ともに非常に厳しい財政状況のなかで、次のような恒久的減税を実施することとされた(資料14)

 

1]個人所得課税

個人所得課税では、最高税率の引下げについては、所得税の最高税率を50%から37%へ、個人住民税の最高税率を15%から13%に引き下げるということになった。

また、最高税率引下げに併せてあらゆる所得階層に効果が及ぶよう定率減税も行われ、個人所得課税トータルの減税額の国と地方の分担は、所得税約2兆9千億円(このほか扶養控除の特例創設で約3千億円)、個人住民税約1兆1千億円で、減税額の比率は7.25:2.75となった。

 

 

 

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