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一方、有識者の回答では「3]団体ごとに税率が違うのは当然」という回答が4分の3を上回っており、「1]できるだけ全団体が同じ税率のほうが望ましい」という回答は1名のみで、地方団体とは全く異なる傾向であった。

 

地方団体間の税率の多様性については、それが納税者に対する財政責任を高めているかどうかということがポイントになると考えられる。この点に関しては北欧諸国の地方所得税の経験が参考になる。資料13に見られるようにデンマークでは地方所得税の税率は多様性に富んでいるが、それには3つの要因があると言われている。第一は地方団体間に税源の偏在があるにもかかわらず財政調整が十分でないことによる税率格差である。しかし、北欧諸国では、このタイプの税率格差をなくす方向で財政調整制度を改革しつつある。第二は、地方団体ごとのサービスレベルの差を反映した税率格差である。これは応益説に適合し、住民の受益と負担の関係が明確になるというメリットがある。第三は地方団体のマネッジメントの差である。税率をValue for Moneyのシグナルとみなして、住民が投票に臨めば、経営に失敗した首長を更迭できる。

 

資料13

 

デンマークの地方所得税の税率の分布(1996年)

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