なお、この場合にあっても、同一の地方団体において、ある税目では標準税率を下回る税率を定め、他の税目で超過課税を行うのは違法と解されていることに留意する必要がある。
イ 標準税率未満の課税のあり方
このような制度改正が行われることを踏まえて、地方団体が今後標準税率未満の課税を行うことについてどのように考えているか、アンケート調査の結果をみてみたい。
アンケート調査では、「1]標準税率未満の課税を検討したい」「2]現時点で実施する考えはないが将来的には検討したい」「3]標準税率未満の課税をする考えはない」という3つの選択肢から都道府県、市、町村に回答を選んでもらった。
その結果、地方団体全体では「3]標準税率未満の課税をする考えはない」と回答した団体が9割近くにのぼり、その理由としては「財政事情が厳しいため」という団体が最も多かった。
一方、「1]標準税率未満の課税を検討したい」と答えた団体は1町のみで、「2]将来的に検討したい」と回答した団体も1割程度にとどまった。なお、将来的に検討したいと答えた団体は、町村において17.0%とやや高い割合だった。
また、アンケート調査では、各地方団体が超過課税や標準税率未満の課税を行うことにより、団体ごとの税率にバラツキが生じることについて、「1]できるだけ全団体が同じ税率のほうが望ましい」「2]団体ごとに税率が違うのは当然」「3]税目によっては税率が異なっても差し支えない」の3つの選択肢から地方団体(都道府県、市、町村]と有識者に回答を選んでもらった。
その結果、地方団体の約3分の2が「1]できるだけ全団体が同じ税率のほうが望ましい」と答えている。この回答を選んだ割合は、町村が8割近くで高くなっており、都道府県や市より町村のほうが横並び意識が強い傾向がうかがえる。
次に「2]団体ごとに税率が違うのは当然」という回答は地方団体全体の2割で、都道府県と市でやや多かった。また「3]税目によっては税率が異なっていても差し支えない」という回答は、都道府県で2割を上回って比較的多く、税目としては法人道府県民税や法人事業税といった法人関係税を挙げた団体が多かった。