エ 固定資産税
昭和25年度改正において、それまであった土地に対する地租及び地租附加税、家屋に対する家屋税及び家屋附加税が廃止され、新たに償却資産をも課税客体とした固定資産税が市町村税として創設された。税率は一旦1.6%の一定税率とされたが、翌26年度の改正で標準税率を1.6%とし、3.0%の制限税率が設けられた。当時の税率採用状況をみると、全市町村(9,728)のうち超過税率を採用している市町村が1,575、標準税率未満の税率を採用している市町村が127あった。
昭和29年度改正においては、宅地価格、建築費の高騰による税収の増加や償却資産一般の負担緩和の必要性、また道府県税として不動産取得税が創設されたことから、昭和29年度は1.5%、昭和30年度以降は1.4%へと標準税率の引下げが行われた。またそれに伴って制限税率も2.5%に引き下げられ、一定の場合に税率2.0%を超えて課税するときは国へ届出を要することとされた。
昭和34年度改正においては、財政力の貧弱な市町村が超過課税を多く採用していることに鑑み、住民の負担軽減を図るとともに関係地方の産業開発に資するため、制限税率が2.1%に引き下げられた。ちなみに、昭和33年度当時の超過課税の採用状況をみると、全市町村3,677団体のうち1,039団体が超過課税を実施していた。
その後、昭和44年度改正において、超過課税を行う場合における慎重性を確保する趣旨から1.7%を超えて課税するときは自治大臣への届出を要することとされた。なお、昭和44年度において超過課税を実施している市町村は993団体とまだ多くみられたが、それ以降超過課税を実施している市町村は減少傾向をたどり、平成10年度には280団体となっている。