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しかし、その後また実施団体数は増加し、平成10年度には1,443団体となっている。

一方、都道府県については、昭和39年度以降、昭和48年度まで超過課税は実施されなかったが、都市部における社会的費用の増大をまかなうため、昭和49年度に兵庫県が超過課税を実施したのを皮切りに、昭和50年度には20団体、昭和51年度には42団体で実施され、平成10年度現在では静岡県を除く46団体で道府県民税法人税割の超過課税が実施されている。

 

ウ 法人事業税

事業税は、昭和23年度改正において、営業税を廃止して創設されたものである。それまであった営業税については、超過課税の実施に内務大蔵両大臣又は知事の許可を要するものであったが、この許可制を全廃し、単に標準賦課総額又は標準税率を法定するにとどめ、超過課税を行うときは、これに関する条例の議会の議決後直ちに内閣総理大臣に報告させることとし、それが国民の租税負担、国の経済政策に照らして適当でないと認める場合は、地方税審査会の審査を請求できることとされた。

その後、昭和25年度改正において、超過課税(標準税率と異なる税率)で課税する場合においては、あらかじめ地方財政委員会に対してその旨を届け出なければならないとされた。

当時の超過課税の実施状況をみると、昭和32年度で4団体(いずれも自主財政再建団体又は財政再建団体)であり、昭和37年度までは財政再建を目的とした超過課税が実施されていた。

昭和38年度から昭和48年度までは、法人事業税の超過課税を行っている団体はなかったが、昭和49年度からは東京都が超過課税を開始した。これは、企業と人口の過度の集中によりもたらされた社会的費用についてその集積の利益の多くを享受していると思われる企業に応分の負担を求めようとするものであり、同じく大都市を有する他の道府県においても、法人事業税の超過課税を検討する動きが見られた。

このような都道府県における法人への超過課税を中心とした財源確保の動きに対し、昭和50年度改正において、あまり大幅な超過課税が行われることは租税体系の秩序維持の観点から好ましくないこと、事業税がその性格から法人所得の算定上損金算入されることにより、他の団体の収入に大きな影響を及ぼすこと等の問題があるという理由から、それまでの自治大臣への届出制を改め、制限税率として標準税率の1.1倍の率を定めることとされた。

その後、超過課税の実施団体数をみると、昭和55年度に京都府の実施により7団体となり、平成10年度まで実施団体数は7団体で変化はない。

 

 

 

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