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ア 個人市町村民税

現行の市町村民税(均等割及び所得割)は、昭和25年度に創設された。

均等割は、1.25倍、所得割については、標準税率18%に対して20%の制限税率が設けられていた(第一課税方式の場合)。

当時の所得割の課税方式は、第一課税方式から第三課税方式の三種類があり、市町村は、それぞれ「所得税額」、「課税総所得金額」、「課税総所得金額から所得税額を控除した金額」のいずれかを課税標準として課税することができるものとされていた。

しかし、第二課税方式、第三課税方式を採用する市町村においては、賦課制限額の範囲内で任意に課税が行えたことから、課税方式を異にしている市町村の間で同程度の所得者でありながら税負担に2倍、3倍の差があることも珍しい例ではなくなってきた。そこで、昭和32年度より、第一課税方式による場合の所得割負担と同程度となることを目途として課税標準額を段階に区分し、その区分ごとの金額に応じて順次に適用されるべき税率(準拠税率)を法定し、市町村はこの率に応じて条例で税率を定めることとされた。ちなみに、昭和33年度の課税方式別採用状況をみると、第一課税方式を採用している市町村が511団体、第二課税方式が2,974団体、第三課税方式が174団体であった。

その後、昭和36年度改正において、産業構造、住民所得の状況、財政状態等をそれぞれ異にする三千五百余の市町村について、一律に標準税率を定めることは実情に即さないものと考えられたことから、第一課税方式における標準税率を廃止し、準拠税率制度(本文方式と但書方式)に改められた。

昭和38年度の所得割の準拠税率の採用状況をみると、準拠税率どおりの市町村が1,746団体に対し、準拠税率を超えている市町村が1,670団体と、準拠税率を超過して税率を設定している市町村が多数存在していた。これは準拠税率が、一応の目安程度の拘束力しかもっていなかったことによる。

そこで、所得割における市町村間の不均衡が著しくなってきたことから、昭和39年度・ 40年度の改正により、準拠税率制度を標準税率制度に改めるとともに、標準税率の1.5倍の制限税率が設けられることとなった。

その後、昭和44年2月に「地方税法に標準税率を定めている趣旨は、国、地方を通ずる国民の税負担の適正化及び地方団体間における住民負担の均衡化を図ろうとするものであり、地方団体は財政上の特別の必要があると認める場合のほかはできるだけ標準税率によって課税することが望ましい。」(昭和44年2月22日 自治市第16号 自治省税務局長通達)、「市町村は、住民税の負担の軽減の要請が強い折から、一般財源の増加状況を勘案して個人の市町村民税を中心に超過課税の解消または軽減に努めること。」(昭和44年2月25日 自治省市町村税課長内かん)といった行政指導がなされたこともあり、昭和44年度には均等割で764団体、所得割で899団体あった超過課税の実施団体数も、減少の一途をたどった。

 

 

 

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