イ 同意の消極的要件
地方分権推進計画では、法定外目的税の創設にあたって、国と事前協議を行うこととされ、法定外普通税と同様、国の同意を要することとされている。国の同意に際しての消極的要件については、基本的に現在の法定外普通税の許可制度における消極的要件と同様のものが考えられる。
そうなると、国税又は他の地方税と課税標準が同じで、かつ住民の負担が著しく過重になる場合には、事前協議で自治大臣の同意が得られないことになる。
これは、法定外目的税においても、法定外普通税の場合と同様に重複課税をできるだけ回避し、納税者の担税力を脅かさないようにする必要があるからである。
また、地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること、国の経済政策に照らして適当でないことも、自治大臣の同意に際しての消極的要件となる。
法定外目的税も、法定外普通税と同様に通常以上の税負担を求めるものであることから、国と地方を通じる税源配分、国民全体の税負担の均衡、国や他の地方団体に対する影響、国の経済政策への配慮等の要請との調整を図る必要があるためである。
法定外目的税を新設するにあたっては、このような消極的要件に該当しないことが必要と考えられる。
ウ その他
法定外普通税については、非課税範囲として当該地方団体の区域外への課税などが排除されているが、法定外目的税についても、その税としての性格に鑑みて法定外普通税と同様に区域外課税などが排除されることになると考えられる。
また、租税としての性格から、強制性・無償性、税収の確保が目的となっているか、担税力はあるかといった観点からの検討も必要と考えられる。
このほか、税収入に比べて徴税費が割高にならないか、税収入が財政規模に比べて著しく低い零細課税とならないかといったことについても、十分な検討が行われる必要がある。
4]法定外目的税の活用
アンケート調査によると、法定外目的税が創設された場合、積極的に活用を検討したいという地方団体が8.5%、将来的には活用を検討したいという団体が69.8%で、合わせて8割近くの団体(都道府県では97.9%)が法定外目的税の活用を検討したいと答えている。