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それから、利用者から料金がとれるかどうか。これはどの類型にあたるかですけれども、基本的には料金がとれるものでも、一番わかりやすいことはわかりやすいのです。ただ現実には、先程の第二類型、第三類型にあたるような形、影の料金を設定することによって民間の参画を呼び込むことができるようなもの。日本の場合ですと、刑務所というのはそぐわないでしょうから、市庁舎ですとか博物館、美術館、それから市民ホール、こういうものが妥当かと思います。

それから、事業の収益性。これも難しいところで、収益性がとれるものは民間に委ねてしまえばいいわけですから、逆に例えば治山治水といったような形で、そもそも収益性を議論するのが難しいようなテーマもあると思います。その間にあるものをどういうふうに見ていくか。さらにその中で全体としては難しい、例えば市街地の再開発を選んだとして、そのときには土地の値段の問題もあってPFIでやろうとするとなかなか民間は手を挙げないだろうと。そういったときに、市街地の活性化にあたって、真ん中に駐車場を造りましょうと言って、その駐車場だけをPFIでやろうと。駐車場が使えることによって一定の金額を払うような契約にしておけば、あるいは乗っかってくるかもしれない。これは一つの例ですけれども、そういう工夫が必要になってくるだろうと思います。それから、事業の、これは普通の民間の事業も同じですけれども、安定性があることは大事でしょう。ただ、基本的には安定性というのは、PFIの場合、民間会社の場合ですよ、非常に確保しやすいと思います。と申しますのは、先程申し上げましたように、払う方は公的主体ですから、契約でしっかり詰めておけばその公的主体のリスクに準じるような形で考えることができると思います。

あとは事業の規模。これも先程申し上げましたけれども、あまり大きいものですと今の経済状況からいいますと、民間の上でも「ではいきなり1,000億円でやりましょう」と言っても、これは銀行もあるいは民間の事業者の方でもなかなか乗ってこない。たとえシンジケーションのような形でも難しいだろうというふうに思います。

 

今申し上げましたのが検討のポイントだと思うのですけれども、その次が課題でございます。

まずはPFI推進法。今申し上げましたように議論となっている法律ですけれども、これは言ってみれば包括的な法規ですから、個別のプロジェクトをやると、当然のことながらもっと適用される法令をチェックしまして、何らかの形で抵触するものはこれを個別に議論してゆくという必要がでてきます。

ここには、道路における道路法。道路は性格によって規定する法律がいろいろありますので、どの部分をやるかによっても違ってくるかと思います。

それから、先程もちょっと申し上げたのですけれども、PFI事業と従来の公共事業との資金面でのバランス。補助金、地方債、交付税と、こういうところにおいて、例えば財政支出が減ったからということとその交付金との問題、これは非常に微妙な問題を含んでいるのではないかと思います。

最後に、プロジェクトファイナンスを行う場合の諸契約の可否の検討という、ちょっと持って回ったようなことが書いてあるのですけれども、先程も申し上げましたように、長期契約というのは民間から見るとファイナンスを付けるときに極めて大事な要素になります。例えば20年の契約を結んだときに、20年間は必ず、例えば市がお金を払ってくれるということが最終契約の段階で決まっていれば安心してプロジェクトも進められるし、銀行もお金を貸す。けれども、これは皆様よくご存じでしょうけれども、いわゆる会計制度について単年度(主義)という大原則がありますから、今の段階で20年間の約束ができるかというのは、これは逆に自治体さんからいうと簡単にはいかないかなというふうに思います。

 

 

 

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