プロジェクトファイナンスはキャッシュフローがすべてだと申し上げましたけれども、ではこれを確実にするために金融機関が何を考えるかと言いますと、間違いなくお金が返ってくるような契約を結ばせるように考えます。具体的には、例えば市庁舎ですと、間違いなく市庁舎を使えるような状態に保っているという条件がある限りは、公的主体としては間違いなく定期的にお金を払いますと。こういう契約が結ばれていれば、実際に銀行からみると、その部分においては市にお金を貸したのと極めて近いリスクだというふうになるわけですから、非常に確度の高いキャッシュフローだなというふうに考えることができます。
あるいは一般廃棄物、ごみの場合もそうなんですけれども、ごみがどれだけあるかわからないということになってくると、せっかく契約をして民間がごみ処理場を造ったのだけれども、例えば日量300トンでオペレーションすれば24時間運転ができるんだけれども、ある日は100トンである日は500トンだったということで、こういう状態が続いてしまうと、オペレーションをやる方としては非常に困ってしまう。
あるいはそのごみを発電と結びつけてやった場合に、発電の売電契約、これが例えば長期に固まっていたとすれば一定のお金は間違いなく入ってくるわけです。その売電先が例えば電力会社であれば非常に堅いキャッシュフローだということが言えるわけですね。
それで担保については、先程はキャッシュフローがすべてだと申し上げましたけれども、実際にはプロジェクトしか入るものがない銀行としては、ある意味では念のためという話なんですけれども、担保も取ります。そのときの担保というのは、例えばプロジェクトの対象となった市庁舎等々の資産であったり、あるいはその契約に伴って発生する、例えばごみ発電にあたっての買電契約に基づく支払い請求権、こういう債権も担保に取る。あるいは、不慮の事故等に備えて保険にも入っていますけれども、その保険金の請求権、こういうものも担保に取ります。
だから、法的にいくつか問題がありまして、これも実はご質問があったのですけれども、PFI導入にあたってどんな規制緩和が必要だと考えられるか、というご質問だったと思います。規制緩和というもう少し広いところで、銀行・公的主体間でいくつか詰めなければならない点がでてきます。それが次のところでございますけれども、この課題の前に、もう少しお話をしておきます。
やはり、どういうものがPFIに向くのかというのが一つ、特に公的主体のサイドから言うと、極めて大きな問題であろうかなと思います。そのときに、いくつか議論があるんですけれども、やはり公共的な意味の高いもの、ニーズが緊急であるものとしては、例えば先程来申し上げております廃棄物処理施設であったり、老人保健施設であったり、あるいは情報化ニーズに対応しての施設の改良であったりするかもしれません。