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それからリスク管理については、今申し上げた通りです。やはり、前はこうなっていたという状況であろうと思います。

 

それから、今までの中に出てきた部分ではありますけれども、PFIのメリット・デメリット。まず、公的主体から見ると少なくとも(支出の)繰り延べ効果はある。現実にはオペレーションも効率化されるので、安くなるケースが多いというふうに言われております。それから、個別事業の採算性についても広域に確認ができる。更に事業設計についても全部民間に委託できるので、事務の軽減ができる。ただ、三つ目については、現実に進めるにあたってはもう一歩踏み込む必要があるのだろうなと思います。実際には、先程申しましたアドバイザーを使うのですけれども、当然のことながら最終的な判断はしなければなりません。ですから、何をどこまで民間にやらせて、そのときにリスクはどこまで持ってもらうのか。当然に民間に持たせるリスクが多くなればそれだけリターンもつけてやらなければいけないわけですけれども、ここのところは最終的には政策判断が必要になってくる。これも非常に露骨な言い方ですけれども、民間の場合にはある程度の利幅がないとやはりやっていけませんから、ここのところは如何に政策として盛り込むか、というのが難しいところであろうかなと思われます。

それからデメリットとしては、これはプロジェクトファイナンスのところで申し上げますけれども、長期契約を結ばないとファイナンスがなかなかつきにくい、という問題があります。

 

次のページでございますけれども、PFIのメリット・デメリットは民間企業から見た場合はどうなるか。まず、事業機会の拡大。これは先程申しましたように、今までの、例えば公共事業と同じようなタイプは、傾向としては減るだろう。従って新しい(タイプの)仕事が増えてくる。このPFIの仕事の中で、例えば建設会社にとっては、先程のプロジェクトをやる事業主体の特別の目的会社から頼まれて造った後の、市庁舎あるいは刑務所を運営する会社、こういうものを子会社として作ってやれば、建設会社にとっても新しいビジネスになるかもしれません。これは、先程申しましたコンストラクションマネージャーも同じです。

それから金融機関についてみますと、これはすべてがそうではないのですけれど、PFIでかなり頻繁に使われる『プロジェクトファイナンス』という手法が導入できる。さらにファイナンスのアドバイスという形にもできるかも知れないというので、事業機会はかなり広がってくるだろうと思われます。

それから、特にプラントメーカーさんなんかがそうなんですけれども、プラントの受注をいっぱい受けました。受けるにあたってはこれを自分でやりますと。プラントをつくるということで、バランスシート上、資産の方にもプラントあるいはそのワーキングプロジェクトが載っかってきますし、反対には借入も膨らんできます。そうしますと、財務内容は非常に悪くなってくると。そのときにプロジェクトファイナンスを導入しますと、いろいろオフバランス化ができます。プロジェクトについては、それぞれ特別の目的会社からお金を借りるけれども、仮に何かあったとしても、本体には影響しない。あるいは本体のバランスシートをもきれいなまま使えるということで、非常にインセンティブとしては大きいと言えると思います。ただ、逆にそれだけ当事者が多くなりますから、時間がかかるというのは、これは民間にとっても極めて厳しい条件ではあります。

 

 

 

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