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ただこの点については、イギリスでもそうなんですけれども、では運営をやるに当たってどういう業者がやるんだといったときに、最初はなかなか経験のある人が少なくて、例えば水道事業等について考えたときに、国内にこういう運営をやる専門家がいなかったので、最終的にはフランスから呼んできた、こういうこともやりました。やっている内に国内でもそういうノウハウが蓄積されて事業が育っていくということで、まずやってみようかということになって、この場合には外国にまかせてしまったということですね。

ですから、日本の場合でもこれはあり得ることでございまして、例えばゼネコンさん。こういうところがおやりにならない場合は、外国からノウハウのある会社に入ってこられるかも知れません。銀行でも同じでございまして、ファイナンスあるいはファイナンシャルアドバイスについて言えば、日本においてオペレーションをやっている(外国の)インベストメントバンク等が興味を示してくる可能性はあるかも知れません。

それから効率的な運営のもうひとつです。余剰資産の有効活用ということで、例が挙がっております。例えば市庁舎をPFIで建てようと思ったんだけれども、実際の毎月の利用にかかる支払いに当たって、利用する側は100しか払えないという。ところが100の受取では民間の方では回りません、借金も返せませんという。そういうことになったときに一工夫できないかとなります。例えばですけれども、「3階建ての市庁舎を造るところを5階建てにしておいて、(余分の)2階部分については商業施設を入れてはどうだろうか。」というような形で工夫をすることによって、何とか採算がとれるような形にするということも、一つの方法ではあると思うのです。

もちろん現実には、周辺の商業施設との兼ね合い等問題もあるでしょうから、簡単にはいかないでしょうけれども、一つの方策としてはあり得るだろうなと思います。先程申しましたように、PFIというのは必ずしも特定の事業の、特定のエリアについてだけを考えなければということはなく、コンセプト自身は非常にフレキシブルでありまして、今の例のように民間工事を付け加えたり、あるいは全体の一部分についてPFIを使うと、こういうことも可能でございます。

それから技術革新。これも言ってみれば公共としてはいわゆるサービスを買う、という意味から考えて、こういう性能が確保されればいいですよというようなオーダーをする。それに対して民間が応札するという形になってさましたら、「よい物を買う」というオプションは『公』の方にあるわけですし、逆に『民』の方について言いますと、そのものについては技術革新が進むであろうということであります。

 

それからPFIの評価でございますけれども、ちょっと跳ばしまして真ん中の二つ目の民間企業。これは建築関係の業者さんにお伺いしてお話を聞きますと出てくる話なんですけれども、「やはり公共工事で今まで仕事をしてきた。その部分があればやはりこちらを優先したい。但しPFIということになるとコンサルタント、マネジメントとかそういう分野もやらなければならないし、市庁舎建築を請け負うのもかえって大変だ。DBFOを全部やってしまうと、非常に人手もかかるし、20年も経たないと最終的に回収できない。これはちょっと苦しい。」という考え方もあるわけなんですけれども、「結局こちら(PFI)の方が主流とは言わないまでも、増えてくるんだということになれば、やはり軸足を移していかなければならない。」移すということによって逆に彼らとしても新規事業のネタをつくれる、というような考えに至るということは、英国においてもゼネコンさんが辿った思考経路のようでございます。ですから、今ではそういうリスクを取って20年のオペレーションをやることによって、逆にそういう収益機会が増えたというふうに考える気風になってきていると言われております。

 

 

 

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