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この点についても実はご質問があったのですけれども、大きな流れとして見ますとやはりこの部分も一つには民間に対するインセンティブになってくるのかなと思います。今までと違った形のビジネスが、ある意味では生まれてくると。既存の形では、公共事業は減るかもしれないけれどもPFIは増える。そのPFIの増える中で、例えば銀行ですとファイナンスという観点から考えたときはアドバイスができる。例えば実際に企業についたファイナンスアドバイザーというのは、「こういう条件であればもっとたくさんのお金が借りられる。」「この条件であればこの金利はおかしい。」というような形でアドバイスをして、実際に交渉の席にも出るでしょう。逆にゼネコンさんであれば、例えばアメリカ等では『コンストラクション・マネージャー』ということで、全体の建設の進行役といいますか、そういうものをやる仕事がむこうの建設会社ではかなり業務の主流になってきています。

実際に物を作る仕事の部分は更に第三者に委ねてしまって、むしろこっちはマネジメントに特化する、というような建設会社さんもあるやに伺っております。更にこういう仕事をコーディネイトする、全体の進行を司るプロジェクトマネージャー、こういう概念もございます。参加者がどういう形でプロジェクトにつくかというのもこれはケースバイケースではあるんですけれども、ファイナンスマネージャー、プロジェクトマネージャーという形でのコットメントが、経験則的には多くなってきているというふうに言われております。

それからPFIヘの評価でございますけれど、公共投資のコストダウン効果ということで数字が挙がっております。この数字は、イギリスの公共投資におけるコストなんですけれども、これについては確かに議論が正直なところございます。ある意味での仮定の世界ですから、ある特定のプロジェクトをPFIでやりました、こういうコストになりました、といったときに、それを当初PFIでやらなかったときにどうなったかというのを仮定の世界で比べても、必ずしも妥当な結果は出てこないだろうというふうに思われますので、議論は確かにあります。ただ議論の中でもやはり、多数意見としては効率化、少なくとも建設費や運営費については従来と比べると、同規模の建設を例にとれば、オペレーションは効率的にやってますよ、というような形で、実際の削減効果が認められるという見方が多くなっています。

仮にコスト削減効果が無かったとしても、少なくとも、例えば市庁舎等の場合はそうなんですけれども、今全部建てる資金が無くとも、PFIをうまく使うことができれば資金の繰り延べ効果は間違いなく生じる、ということは言えるだろうと思います。

それから、今の話とも関係するんですけれども、効率的な運営が実現すると。これは一つには民間だから効率的だということではなくて、いわゆるDからOまで全部一直線でできるということですから、企画は企画、建設は建設、運営はまた別ですよということではなくて、全部いっぺんにやることによって効率的な運営ができる可能性はあるだろうということです。

 

 

 

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