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それから次の頁でございますが、これがPFIの基本的な構成でございます。基本的には何らかの事業をやるに当たって興味のある会社、一番考えられるのはゼネコンさんですとかエンジニアリング会社、こういう会社が寄り合いましてプロジェクトカンパニー、これは通常ペーパーカンパニーですけれども、これを作りましてこれを事業主体として、ではプロジェクトをやりましょうという形で当該の公的主体との交渉に入ると。この中で、このプロジェクトに投資採算が合って自分も投資したいという形で純粋な投資家が入ってくる場合もありますけれども、そういう人たちがコンソーシアムの企業連合を組んでプロジェクトカンパニーを作って交渉が行われる。それで、契約の内容等を固める手続。これはまた後で申し上げますけれども、実際には公共事業に必要な資金は多額にのぼり、コンソーシアムの出資だけではお金は十分ではありませんので、金融機関も当然この中に巻き込んでいくと。金融機関の立場で申しますと、プロジェクトの最初の段階から参画していきたい。この辺がPFIの「プライベート・ファイナンス・イニシアティブ」という、金融機関も含めた民間の主導というふうになってくるんだろうと思いますけれども。具体的には、金融機関と企業連合を含んだ形での交渉になってくると。

契約の中身と致しましては、DBFO、ここにありますように設計・建設・資金調達・運営、これらが一体となったような契約を詰ぶことになります。銀行は、自治体さんあるいは中央省庁さんの場合もあるでしょうけれども、当該の自治体と「ダイレクトアグリーメント」というのを結びます。これは何かと申しますと、仮にこのプロジェクトが何らかの事情でうまくいかなかった、こういったときにそもそも公共事業を任せているわけですから、放り出すわけにもいかない。そのときに銀行が、「ステップイン」と申しまして、問題になったプロジェクトカンパニーから事業を引き取って他の民間企業を探す、というふうなことをする。ある意味では権利継承で、ある意味では義務なのかもしれませんけれども、こういう役割を持つという契約でございます。金融機関としては、そのまま破産してしまうと彼ら自身も困ってしまいますので、当然にこれは自分たちでやることになります。ただ、PFIが本格的に導入されてからまだ4年と言っていいと思います。実際には92年の導入ですけれども、案件が活発に動き出しましたのは94年以降でございますので、そういう意味では「ステップイン」という形になった例は、イギリスにおいてもありません。

 

 

 

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