それから次の頁にまいります。
金額的なもので申し上げますと、直近のデータではイギリスの公共投資総額の中で約2割でございますか、これがPFIになりつつあるという状況でございます。只、絶対金額で申しますと、イギリスと日本の国情の違いというものもございますので、金額そのものは必ずしも大きいものではございません。金額も1件あたりにしますと多いか少ないかは議論のあるところですけれども、100億円単位くらいのプロジェクトがPFIの中心になっているようです。
例えば、その下に対象分野についての説明がございますけれども、道路・橋・地下鉄、このあたりは非常に大きい、日本でいいますと何千億、あるいは例として第二東名という話になってくると、それこそ兆単位のお金になるわけですけれども、まず、イギリスでも始めたのは、例えば道路の一部の補修、あるいは限られた何キロメートルの延伸というような形で始めておりますので、金額についてはかなり控えめなところでスタートしております。
あるいは、これは資金づくりの点からもそうなんですけれども、ある特定のプロジェクトのうち一部だけをPFIでやる、というようなこともやっております。例えば、ここにでているような例がそうなんですけれども、地下鉄。地下鉄については、全部をPFIでやろうとすると、これはご存じのようにトンネルの掘削工事に大変なコストがかかりますので、既存のオペレーションのうち、例えば車両の部分、あるいは駅舎の管理、この部分だけを民間でやって下さいよ、というような形で委ねるということをやっております。
それから、これも日本人にとってはある意味では驚きですけれども、刑務所、それから病院、教育施設、こういう公共性の極めて強いといいますか公共事業そのものですね。それらについてもPFIを導入する動きがございます。導入にあたっては、これを民間側から見たときに、いわゆる手本として成り立つようにやらなければならないということで、ここにも一工夫いるわけですけれども、それについては後でお話をしょうと思います。どんな形のPFIの形態があるか、その中でどういう進め方をされているかということを申し上げたいと思います。
それから次の頁に移りまして、分野別の金額。それぞれ提示していますように、1件あたりにすると100億円程度ということで、それほど大きくはございません。内容的には今申しましたように、いわゆる交通インフラ関係が、圧倒的に金額が大きゅうございます。ただ、昨今の状況と致しましては、97年に労働党が政権をとりましてから少しトレンドとしては変っております。具体的には、それまで保守党の政策として、「ユニバーサルテスティング」と申しまして、基本的にすべての公共事業がPFIにならないかどうか確かめましょう、ということをやっておったのですが、労働党に政権が移動しましてからこの点がちょっと変わりました。基本的に労働党は、従来はPFIについてはどちらかといいますと批判的な立場をとっておったのですが、ブレア首相という人は非常に現実的な方でして、政権奪取後、これはサービスの効率化という意味で最終的には住民にとってメリットがある、ということで継続することにしたのです。但し、何をやるかといったときに、まるまるPFIで民間に委ねてしまうのは妥当ではないだろう、まず地域住民の福祉等についてのみ優先運用すべきであろう、ということで「ユニバーサルテスティング」を中止致しました。それに代わりまして、やはり保健あるいは社会福祉といったところに重点が置かれ始めていると。従って病院等が増えてきて、いわゆる交通インフラ関係が減ってきたというような傾向が最近のトレンドと言えるかと思います。