2. 広島市における民間活力を活用した都市づくりの事例紹介
昨今、より効率的な社会資本整備が可能となるよう、民間の高い技術力・豊富な資金力・経営能力を活用する新しい社会資本整備方策いわゆる日本版PFIの導入が各分野で検討されているが、民間活力の活用の推進は、官民の適正な役割分担や効率的な都市経営の観点から、行政として絶えず取り組むべきテーマの一つである。
広島市においても、限られた財源を有効活用し、都市基盤の整備等様々な行政施策の推進を図るため、民間活力の積極的な導入に努めてきたところであるが、本稿では、そのいくつかの事例のうち、官・民及び地域住民が体となって取り組んでいる「ひろしま西風新都の建設」や、市民や企業など多様な主体と行政が協働したまちづくりを推進するための「ボランタリー総合支援センターの開設」の事例について紹介させていただきたい。
【民間活力を活用し、官・民・住民が一体となった拠点都市づくり -ひろしま西風新都の建設について-】
(1) 目的
「ひろしま西風新都の建設は、広島市中心部から北西約5〜10kmに広がる丘陵地約4.570haの地域において、「住み」「働き」「学び」「憩う」といった複合機能を備えた人口10万人規模の新しい都市を、民間活力の活用を基本として、官・民及び地域住民が協調し一体となって創出しようとするものである。
平成6年10月には・この新都市のほぼ中央に建設された「広島広域公園」の陸上競技場(ビッグアーチ)をメイン会場として、首都以外の都市では初めてという第12回アジア競技大会広島1994が開催されたところである。
(2) 計画の概要
1] 対象地区
広島市安佐南区沼田地区及び佐伯区石内地区
2] 導入する都市機能
1) 高質居住機能:魅力ある都市居住空間の創造、地域特性にあった魅力ある住まいづくりの推進
2) 保健・医療・福祉機能:総合福祉コミュニティ構想の推進、福祉・医療サービスの充実
3) 都市型産業機能:先端技術産業等の産業集積拠点の形成広域的な流通拠点性の強化・都市機能を高める高次サービス産業の育成・振興
4) 学術・研究・研修機能:地方中枢都市、国際平和文化都市にふさわしい高次教育、研究機能の強化、研究開発機能集積拠点の形成
5) スポーツ・レクリェーション機能:多様なスポーツ・レクリェーション施設の充実等
6) 都市センター機能:広域拠点としての都市センターの形成、生活拠点の適正な配置
7) 高度情報通信機能:高度情報通信基盤の整備等