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2 北野工房のまち

 

(1) 北野小学校の閉校

 

神戸市立北野小学校は、明治41年に開校した87年の長い歴史と伝統を誇る小学校である。

 

【北野小学校の概要】

・住所 神戸市中央区中山手通3丁目17番地

・敷地面積 5,135m2

・規模構造

東校舎:昭和6年建設、RC造3階建て、延床面積1,950m2

北校舎:昭和34年建設、RC造3階建て、延床面積1,560m2

 

同校は、神戸開港とともに形成された外国人居留地と、現在では神戸の代表的な観光地である北野異人館街を結ぶトアロードに面して開校され、「神戸文化の発祥地」ともいえるエリアに位置している。また、周辺は文化の薫りの高い商業施設が集積しており、神戸の歴史と伝統を色濃く残した地域である。

同校は、都市の人口増加とともに、3度の増改築を行い規模を拡大してきたが、昭和56年以降、児童数は減少の一途をたどっていた。さらに、平成7年の阪神・淡路大震災が、周辺地区に甚大な被害を及ぼし、同校も東校舎と北校舎の二つの校舎の内、皮肉にも建設年度の新しい北校舎が使用不能となった。

こうした要因により、同校は隣接校区と統合され、平成8年3月、長い歴史に幕を閉じた。

神戸市では、同校の閉校以来、その跡地が都心部における稀少なまとまったスペースであるということから、その活用について検討してきた。

そして、震災後の社会・経済情勢や市の財政状況、周辺のまちづくりの進捗状況などから、早急に恒久利用を決定するのではなく、実験的な試みを行いながら、当該跡地の暫定活用を図ることが最も適切であると判断した。

なお、恒久利用については、今後時間をかけて検討していくことになった。

また、暫定利用については、全市的な視野に立ち、アーバンリゾート都市づくりを推進するとともに、震災復興に連動する「産業の復興」「都市イメージの回復」という課題の解決につながる活用方法を考える必要があった。

 

 

 

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