X 既存の都市インフラの新たな活用方策
神戸市震災復興本部総括局復興推進部企画課長
横山 公一
1 はじめに
神戸は、海と山という自然に恵まれ、港を通じて開放的で豊かな市民文化を育み、国際都市として発展してきた。しかし、平成7年の阪神・淡路大震災により、多くの市民の尊い生命が奪われ、都市基盤も甚大な被害を受けた。
本市では、震災以降、各方面のご支援をいただきながら、復旧から復興へと全力をあげて取り組んでいる。
復興にあたっては、単に震災前の姿に戻すにとどまることなく、震災の経験や教訓を生かし、より安全で快適な、にぎわいと魅力あふれるまちをめざし、「アーバンリゾート都市づくり」に資する復興を進めている。
特に、既成市街地では、震災により破壊された地域資源や景観を修復するだけでなく、都心立地にふさわしい高付加価値化を図り、地域の特性を生かした都市魅力の創造に努めるとともに、既存の魅力資源を発掘し、連携させることによって、回遊性を高め、相乗効果を図り、都市全体としての魅力を一層高めていく。
また、その整備にあたっては、地域住民の主体的な参加を支援し、適正な役割分担のもと、市民・事業者・市が協力し合い、一体となって進めていくとともに、社会経済情勢の変化に対応し、柔軟で多様な整備方策の展開、魅力の維持向上を支える仕組みの確立を図っていく。
さらに、その神戸の魅力を、全国・全世界に向けて常に発信していく。
こうしたアーバンリゾート都市づくりの推進の中で、既存の都市インフラを転活用した代表的な事例として、平成!0年7月にオープンした「北野工房のまち」を以下に紹介する。