5. おわりに
明治以降の大阪では、私鉄を中心とした鉄道網の整備や産業の振興、公会堂や美術館をはじめとする種々の都市施設の整備は、民間の英知とエネルギーを活かして進めてきた伝統があり、こうした伝統を活かして、前記の事例を含め、本市では早くからまちづくりに対して、第3セクター方式や土地信託制度の活用など積極的に民間活力の導入を図ってきたところである。土地信託制度については、昭和61年の国有財産法及び地方自治法の一部改正により、国公有地についても制度の適用が可能となって以降、本市では6事業で適用しているが、信託期間が長いため長期の見通しが難しいことやリスク負担が暖昧であることなどにより、都心部での1事業を除きいずれも厳しい状況にある。また、第3セクターにおいても、信託事業と同じように厳しい状況にあると言わざる得ないのが現状である。
現在、PFIやプロジェクト・ファイナンスなど新たな民間活力等の導入について、いろいろ議論されているところであるが、今後、これまでの第3セクター方式や土地信託制度の適用事例の検証も含めて、PFIなどの新たな導入方策について検討していくことが必要であると考える。