本地区の開発にあたっては、大阪の文化・娯楽の中心として発展してきた新世界の雰囲気を継承しつつ、都心機能を補完する斬新で独自性の高い施設群の導入を図ることにより、新世界帯の再開発の核として、親しみやすく、快適で魅力あふれるまちをめざしたものである。平成元年5月に行われた「交通局霞町車庫跡地開発プロジェクト・土地信託事業計画提案競技」においては、「地域活性化拠点の創出」、「新世界・天王寺公園等と結ぶ回遊ネットワークの形成」、「地域のシンボルとなり市民に親しまれる都市景観づくり」の3点に留意し、地域の振興発展にインパクトを与えることを計画目標とした。同年12月に東洋信託銀行・三井信託銀行・中央信託銀行・日本信託銀行の4行連合体の提案「フェスティバルゲート構想」が最優秀案として選定された。
事業形態としては、管理運用型土地信託と処分型土地信託を組み合わせたものであり、「遊び」というテーマで調和させることにより、管理運用型・処分型に関連性を持たせ、全体として整合性、一体性を図りつつ、相乗効果を一層高めたものとしている。管理運用型信託施設では、都市型立体遊園地を中心として商業施設や映画館等とともに「都市のアミューズメント」を演出し、信託期間の30年間を信託銀行が主体であるフェスティバルゲート株式会社が管理運営していくものである。一方、処分型信託施設としては、温泉を利用した世界各国の風呂、サウナなどの大浴場と各種プール、さらに宿泊施設等において一大アクア・アミューズメントを建設し、建物竣工時には第3者に売却された。平成3年3月に信託契約を締結し、平成5年3月に建物の建設着工、平成9年7月に施設がオープンした。施設概要については、表-3に示すとおりである。
管理運用型施設のデザインは、海底都市をイメージしており、施設の南西角にはフェスティバルゲートの名の由来ともなる施設のシンボルである高さ45m、幅52mのH型のゲートタワーがそびえ、このゲートから入って行くと2階の広場につながっている。広場は遊戯施設や商業施設が一体化した都市型立体遊園地内にあり、歩行者に開放され無料で自由に出入りができる。処分型施設は、世界各国の風呂やサウナを集めたフロアとさまざまなプールやウォータースライダーなどの施設のあるフロアを配置している。これらの施設は敷地内の地下857mで湧出した温泉を活用している。
施設がオープンした平成9年度には7月のオープンにもかかわらず、東京ディズニーランドに次ぐ656万人で、全国2位の来場者を記録し、平成10年10月までの延べ来場者数は956万人を数えている。しかしながら、来場者数に比べて、商業施設の売り上げが伸び悩んでおり、全体の事業収支への影響が予想され、今後の課題となっている。