2. 札幌市リサイクル団地
(1) リサイクル団地建設の経緯と概要
札幌市内中心部から北東に約15km、イサム・ノグチが設計したモエレ沼公園にほど近い東区中沼町の札幌市リサイクル団地は、し尿処理場の跡地を利用して、平成6〜8年度に約19億円をかけて造成された札幌市のリサイクル拠点である。
全国的に廃棄物最終処理場(ごみ埋立地)の用地取得が難しくなる中、建設系廃棄物など事業系廃棄物の適正処理や資源物のリサイクルは、埋立地の延命にもつながるため至上命題となっているが、札幌市も、その例外ではない。
この団地は、当初、市や民間処理業者、排出事業者が一体となって、主に事業系廃棄物の中間処理を行うために整備したものであるが、現在では、さまざまな資源物を含む廃棄物の減量と再利用を効率的に行うための中核施設として位置づけられている。約23haの敷地の中に第3セクターや民間の6施設が稼動しており、今後、さらに通産省と厚生省の「エコタウン事業」として3施設が設置されることが決まっている。
これら9施設の概要については、あとで紹介することとして、ここでは、団地全体の特徴について触れておきたい。
この団地は、「産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律」に基づき厚生大臣等の認定を受けており、これにより無利子融資等の優遇措置を活用した産業廃棄物処理施設の整備が図られ、さらに緑地、野球場等の公共施設を併設することにより、地域に密着したリサイクル施設を目指している。
リサイクル団地の整備に当たっては、廃棄物処理・リサイクルの採算性からみて、
・採算性が完全に見込まれるものは民間が行う
・採算性の見込みはないがリサイクルの必要性が高いものは市が行う
・採算性において上記以外のものは第3セクターが行う
という三つに区分して施設立地等を計画し、複合的に事業展開を図っている。
また、全ての施設が学校や町内会などの団体や個人の見学者を受け入れており、団地内にはリサイクルの現況を学べる「リサイクル資料館」も設置して、資源物リサイクルについての市民理解の促進に努めている。