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このドームは、これまでの国内のドームとは異なり、ワールドカップサッカー大会の開催を可能とするため、サッカーの使用時には「天然芝」、野球などの使用時には「人工芝」という二つの条件を満足させる必要がある。そこで、このための新しい技術を広く国内外から求めて、平成8年度に国際設計・技術提案競技(コンペ)を実施した。

このコンペの実施にあたっては、「市民参加」に努め、応募案の事前公開、ヒアリングの市民公開など、この種の大型コンペとしては、初めての試みが行われた。

その詰果、「原広司グループ」の作品が、羊ヶ丘の自然環境を生かしながら、緑と建物が融和した美しい景観を生み出すなど、風土・環境に調和している点を高く評価され、最優秀作品に選定された。

この作品のもう一つの特徴は、世界初の天然芝と人工芝の転換システムにある。

人工芝はコンクリートの上に敷いてあり、天然芝の使用時には、これを巻き取り、その後に外にある天然芝フィールドをドーム内に引き入れるものであるが、転換に要する時間は提案では約5時間を見込んでいる。

この天然芝フィールドは、縦120m、横85m、高さ1.35mで、重さはジャンボジェット機20機分に相当する約8,300tであるが、微小な空気圧により浮上させ、駆動車輪荷重を小さくし、ドームの中に入れるものである。

この転換システムは、昨年2月に千葉県野田市で、実物のほぼ10分の1の模型により実験を行い成功している。

また、この天然芝フィールドは、サッカーの利用を行わない場合はドームの外にあり、芝の育成に必要な日光を確保するため、旋回移動できるほか、グラススタンドを持つオープンアリーナとしての利用も可能となっている。

このほか、競技種目に対応した可動客席のシステムや各種表示装置を設置するなと多目的利用に適した施設にする予定である。

建設事業費は、基本設計及び実施設計費を含めて422億円であり、用地費を加えた総事業費は537億円である。

建設財源としては、市費の外、道補助金、経済界などからの寄付金、交付税措置のある起債の活用を見込んでいる。

 

 

 

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