(2) ドーム建設の意義
札幌市は、このドームを公設で建設することとしたが、これは単にサッカースタジアムにドーム機能を持たせたということではなく、過去において北海道がドームの実現可能性を検討した結果がベースとなっている。
また、公設・民営という手法は、これまでの東京、福岡、大阪、名古屋のような民設・民営とは異なり、我が国の大規模ドームでは初めての設置形態となるものである。
東京ドームや大阪ドームは、大都市が連なっている首都圏や近畿圏にあり、また、福岡ドームや名古屋ドームは、政令指定都市や中規模の都市が近接している九州圏や東海圏にある。
これらの地域と比較すると、北海道は広い面積に人口が分散しており、多数の人々が集まる大規模イベントを開催して収益をあげる民設・民営方式でのドームの経営は、かなり難しいものと考えられている。
しかし・半年近くの間、雪とともに生活しなければならない北海道にとって、通年利用可能な全天候型多目的施設を建設することは、スポーツや文化などの面で市民生活を豊かにするとともに、都市活力の創出など多くの効果を発揮するものと期待される。
具体的なドーム建設のまちづくりに対する効果としては、
・スポーツ・レクリエーション活動拠点の形成
・スポーツイベントや文化イベント等の開催を通じた市民文化の創造とスポーツの普及・啓発を通じた地域コミュニティの向上
・国内外スポーツイベント、文化イベント等の開催による文化・情報の国際的な発信
などが考えられる。
このようにスポーツというジャンルを超えて多様な可能性と魅力を秘めたドームを北海道・札幌市において建設するために、固定資産税などの公租公課や減価償却費用がないという公設・民営方式が有効な手法として採用されたのである。
(3) 施設建設計画の概要
北海道農業試験場は全体で862haの広大な面積であるが、ドームはこの試験場の用地の一部(31ha)を国から取得して建設するものである。都心からは約6.5kmに位置し、北は「国道36号」、南は幹線道路「羊ヶ丘通」に挟まれ、白旗山に連なる広大な自然環境に恵まれたところにある。
交通アクセスも地下鉄東豊線福住駅から約500mの距離にあり、広域道路網も整備されているので、市内はもとより北海道内外からもアクセスがしやすいところに位置している。