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3 歴史的遺産・伝統文化を保存するための具体的方策

 

(1)映像による地域文化財の保存

○ユーカラもアジア音楽と同じで、ある一定の枠はあるものの、枠の中は自由に変えられるもので、十人十色である。したがって、伝承をビデオで残すのは大変いいことで、重点的に重要なものをあまねく残すのがいいのではないか。

○最初は各県が選ぶもののモデルを示してやる必要がある。最初が非常に重要。アイヌと沖縄は一つずつは入れるべきである。

○獅子舞は全国どこにでもあるので、獅子舞を全部見られるビデオを用意するというのが一番手っ取り早いと思われる。それができれば博物館物である。

 

(2)口伝文化の西洋音楽化、現代化の試み

○西洋音楽は楽譜を持ったために全世界を制覇している。西洋音楽以外は全部口伝である。日本やアジアの音楽は、一人一人、地域ごとに違っていいものであり、それが特徴であるから、楽譜に起こすことがいいのかどうかは疑問を挟む余地がある。いずれにしろ、能や謡曲をきちんとした形で残すには、ビデオで電磁的に残すか、採譜して残すしかない。

○採譜はアジア的な音楽ということからいうと邪道であるが、一番分かりやすい残し方で、普及しやすいというメリットがある。大学生など絶対音階を持つ人をうまく組織化して楽譜化をしていけばそれほど費用もかからず、難しいことではない。要は、西洋音楽化してしまうことでアジアの音楽の精神が没却されてしまうことをどう割り切るかである。

○お神楽を採譜するというのを何度か試みたが、ことごとく失敗した。採譜自体は可能だが、採譜したものでお神楽をやっても実際には踊れない。

○西洋音楽のもう一つの特徴は改革。バロック音楽やロマン派や古典派というように、時代ごとに様式が異なっている。鉄道が発達し、10日間かかる距離が8時間ぐらいに縮まる時代になると、それなりに音楽も凝縮したものに変わっていく。

 

 

 

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